I「日本における遺伝看護教育の課題と展望」

ポストゲノム時代を迎えわが国でも2005年に, 看護職の認定遺伝カウンセラーが誕生した. こうした時代背景を受け, 看護系大学に「遺伝看護学」を学ぶ大学院が設置されるようになったが, その一方で, わが国の看護基礎教育における「遺伝看護学」の位置づけは弱いという現状がある. 本学保健学科では, 開設当初から『看護遺伝学』を開講しているが, 全国で「遺伝看護」を学ぶ独立した学科目を, 看護の基礎教育カリキュラムに設置している大学は僅かである. さらに, 演者の調査では, 遺伝看護教育にとって重要なテキストおよび国家試験についても, その内容は遺伝看護の教育に十分とは言えなかった. このように,...

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Published in山口医学 Vol. 54; no. 6; p. 186
Main Author 辻野久美子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 山口大学医学会 2005
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ISSN0513-1731

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Summary:ポストゲノム時代を迎えわが国でも2005年に, 看護職の認定遺伝カウンセラーが誕生した. こうした時代背景を受け, 看護系大学に「遺伝看護学」を学ぶ大学院が設置されるようになったが, その一方で, わが国の看護基礎教育における「遺伝看護学」の位置づけは弱いという現状がある. 本学保健学科では, 開設当初から『看護遺伝学』を開講しているが, 全国で「遺伝看護」を学ぶ独立した学科目を, 看護の基礎教育カリキュラムに設置している大学は僅かである. さらに, 演者の調査では, 遺伝看護教育にとって重要なテキストおよび国家試験についても, その内容は遺伝看護の教育に十分とは言えなかった. このように, わが国の看護基礎教育における遺伝看護を取り巻く状況は厳しいが, 「遺伝看護」の知識と実践力が, 全ての看護分野に必要であることが認知される時, 「遺伝看護」は市民権を獲得し, 日本の文化に根ざした発展を遂げることが出来るだろう.
ISSN:0513-1731