NO.15 T細胞リンパ腫関連血球貧食症候群の1例

【症例】50歳男性. 生来健康であったが, 平成15年12月末から繰り返し発熱を認め, 肝機能異常, 血小板減少, LDH上昇の指摘にて紹介入院となった. 入院時, 肝 腎障害, DIC, 血小板減少, フェリチンの著明高値を認めた. リンパ節腫脹は認めず, CTにて中等度の脾腫を認める. Gaシンチでは異常を認めなかった. 骨髄穿刺 生検にて, 著明な血球貧食像とリンパ腫細胞の浸潤像を認め, リンパ腫関連血球貧食症候群(LAHS)と診断した. ステロイドパルス療法と多剤併用化学療法を開始したが, 十分な治療効果を得るには至らなかった. 造血幹細胞移植も検討したが, 病勢悪化し永眠された. 【...

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Published in山口医学 Vol. 53; no. 3; p. 190
Main Authors 有好浩一, 縄田涼平, 野見山淳, 鶴政俊, 安藤寿彦, 香月憲作, 高橋徹, 阿武孝敏, 田口昭彦, 宮崎睦子, 松原淳, 谷澤幸生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 山口大学医学会 2004
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ISSN0513-1731

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Summary:【症例】50歳男性. 生来健康であったが, 平成15年12月末から繰り返し発熱を認め, 肝機能異常, 血小板減少, LDH上昇の指摘にて紹介入院となった. 入院時, 肝 腎障害, DIC, 血小板減少, フェリチンの著明高値を認めた. リンパ節腫脹は認めず, CTにて中等度の脾腫を認める. Gaシンチでは異常を認めなかった. 骨髄穿刺 生検にて, 著明な血球貧食像とリンパ腫細胞の浸潤像を認め, リンパ腫関連血球貧食症候群(LAHS)と診断した. ステロイドパルス療法と多剤併用化学療法を開始したが, 十分な治療効果を得るには至らなかった. 造血幹細胞移植も検討したが, 病勢悪化し永眠された. 【考察】血球貧食症候群(HPS)は不明熱の鑑別疾患として忘れてはならない. また原疾患診断の端緒となるものである. HPS合併の悪性リンパ腫は極めて予後不良の一群であり, 造血幹細胞移植の積極的な適応を含め, 治療法改善には今後の検討が必要である.
ISSN:0513-1731