ヒトにおけるセサミンの血圧降下作用(p.87-91)

セサミンはゴマに含まれるリグナン化合物の1種で, さまざまな医学的効用があるとされている. ラットにおいてセサミンは高血圧の悪化を抑制することが報告されている. 本研究では, プラセボを用いた2重盲検クロスオーバー法を用い, 軽症高血圧症者に対して4週間セサミンを摂取させ, その効果を検討した. 中年の軽症高血圧者25名を, 年齢とBMIを一致させて2群に分けた. 12名には1日に60mgのセサミンが含まれたカプセルを, 13名にはプラセボカプセルを, それぞれ4週間摂取させた(period 1). 4週間のウオッシュアウト後, 試験食をクロスさせて4週間摂取させた(period 2). セサ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本栄養・食糧学会誌 Vol. 62; no. 2; p. 89
Main Authors 宮脇尚志, 青野秀史, 小野佳子, 前田哲史, 木曽良信, 森山賢治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本栄養・食糧学会 2009
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:セサミンはゴマに含まれるリグナン化合物の1種で, さまざまな医学的効用があるとされている. ラットにおいてセサミンは高血圧の悪化を抑制することが報告されている. 本研究では, プラセボを用いた2重盲検クロスオーバー法を用い, 軽症高血圧症者に対して4週間セサミンを摂取させ, その効果を検討した. 中年の軽症高血圧者25名を, 年齢とBMIを一致させて2群に分けた. 12名には1日に60mgのセサミンが含まれたカプセルを, 13名にはプラセボカプセルを, それぞれ4週間摂取させた(period 1). 4週間のウオッシュアウト後, 試験食をクロスさせて4週間摂取させた(period 2). セサミンを摂取させた群は血圧が有意に低下した(収縮期血圧:137.6±2.2mmHg→134.1±1.7mmHg, p=0.044, 拡張期血圧:87.7±1.3mmHg→85.8±1.0mmHg, p=0.045)が, プラセボ群ではほとんど変動がなかった(収縮期血圧:135.0±1.8mmHg→135.1±1.7mmHg, 拡張期血圧:85.9±1.2mmHg→86.6±1.2mmHg). 結論として, 1日60mgのセサミンを4週間摂取することは, 収縮期と拡張期の血圧を平均でそれぞれ3.5mmHg, 1.9mmHg低下させ, セサミンがヒトにおいて降圧作用を有することが示唆された. 疫学的検討では, 2-3mmHgの血圧低下は心血管病のリスクを下げるとされており, セサミンによる血圧低下は心血管病の予防に有益である可能性が考えられた.
ISSN:0287-3516