ラット血漿遊離アミノ酸濃度に対するエンドトキシンの影響(p.460-466)

我々は, ラットの体温と血漿遊離アミノ酸濃度に対するlipopolysaccharide(LPS)投与の影響を検討した. ラットが覚醒した状態で採血およびLPS投与ができるように, 頸静脈にカテーテルを挿入し固定した. 実験当日の実験期間中(330分), 体温を記録し, LPS(10μg/kg体重)投与前と投与後の数時点で採血した. LPS投与ラットの体温は, 投与後約30分より上昇し始め120分後にピークに達し, その後やや低下したが, 実験終了までコントロールラットよりも約1℃高い体温が維持された. 多くの血漿遊離アミノ酸の濃度は, LPS投与により低下し, 投与後120分で最下点に達した...

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Published in日本栄養・食糧学会誌 Vol. 62; no. 1; p. 27
Main Authors 浅井陽介, Gustavo Bajotto, 吉里秀雄, 濱田広一郎, 樋口智子, 下村吉治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本栄養・食糧学会 2009
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Summary:我々は, ラットの体温と血漿遊離アミノ酸濃度に対するlipopolysaccharide(LPS)投与の影響を検討した. ラットが覚醒した状態で採血およびLPS投与ができるように, 頸静脈にカテーテルを挿入し固定した. 実験当日の実験期間中(330分), 体温を記録し, LPS(10μg/kg体重)投与前と投与後の数時点で採血した. LPS投与ラットの体温は, 投与後約30分より上昇し始め120分後にピークに達し, その後やや低下したが, 実験終了までコントロールラットよりも約1℃高い体温が維持された. 多くの血漿遊離アミノ酸の濃度は, LPS投与により低下し, 投与後120分で最下点に達した後, 上昇してコントロールラットのレベルに達するかそれを上回った. LPS投与による体温反応は, 血漿遊離アミノ酸濃度の変化と関連しているようであった. 分岐鎖アミノ酸(BCAA)を経口もしくは静脈内投与したラットの血漿遊離BCAA濃度の動態に対するLPS投与の影響についても検討した. その結果, BCAA経口投与による血漿BCAA濃度の上昇は, LPS投与により有意に抑制されることが示された. しかし, BCAA静脈内投与による血漿BCAA濃度の変動にはLPSの影響はなかったので, LPSは腸管におけるBCAAの吸収を抑制することが示唆された. これらの結果より, 敗血症時にBCAAを投与する場合, 経口よりも非経口的投与の方が体組織におけるBCAAの利用率が高いことが示唆された.
ISSN:0287-3516