コハク酸によるラット結腸上皮細胞の増殖抑制 (p.377-379)

腸内細菌が炭水化物を分解するとおもに短鎖脂肪酸が生産される. 短鎖脂肪酸は生体位で小腸や大腸の上皮細胞の増殖を刺激する. ときに結腸内にコハク酸が蓄積することがあるが, 結腸上皮細胞の増殖に与えるコハク酸の影響は未知である. そこで, 私達はコハク酸が結腸上皮細胞の増殖に与える影響を生体位での実験で調べた. すなわち, ラットの遠位結腸にコハク酸を100mMあるいは0mM含んだ液を6日間還流した後に遠位結腸の陰窩あたり蓄積分裂中期像数を測定した. その結果, コハク酸の結腸管腔内注入はラット結腸上皮細胞の増殖を有意に抑制し, 陰窩サイズを減少させることが明らかになった. 上記の結果は, コハク...

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Published in日本栄養・食糧学会誌 Vol. 60; no. 5; pp. 269 - 270
Main Authors 稲垣明子, 市川宏文, 坂田 隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本栄養・食糧学会 2007
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Summary:腸内細菌が炭水化物を分解するとおもに短鎖脂肪酸が生産される. 短鎖脂肪酸は生体位で小腸や大腸の上皮細胞の増殖を刺激する. ときに結腸内にコハク酸が蓄積することがあるが, 結腸上皮細胞の増殖に与えるコハク酸の影響は未知である. そこで, 私達はコハク酸が結腸上皮細胞の増殖に与える影響を生体位での実験で調べた. すなわち, ラットの遠位結腸にコハク酸を100mMあるいは0mM含んだ液を6日間還流した後に遠位結腸の陰窩あたり蓄積分裂中期像数を測定した. その結果, コハク酸の結腸管腔内注入はラット結腸上皮細胞の増殖を有意に抑制し, 陰窩サイズを減少させることが明らかになった. 上記の結果は, コハク酸が生体位で結腸上皮細胞の増殖を抑制することを示している.
ISSN:0287-3516