食餌性コバラミン欠乏ラットの肝臓におけるproliferating cell nuclear antigen(PCNA)の発現レベルの異常な上昇と肝臓障害について(p.168-173)
飼料中のコバラミン(ビタミンB12)を欠乏させたラットでは著しい成長遅延が観察され, 20週齢での体重は欠乏群では正常群に比べ有意に低下していた. ところが, 肝臓重量は, 体重当たりで比較すると, 欠乏群で正常群に比較して有意に高値を示した. 細胞増殖の指標であるproliferating cell nuclear antigen(PCNA)の発現レベルを調べたところ, 欠乏ラットの肝臓では正常ラットに比べ有意な上昇がみられ, コバラミン欠乏ラットでは肝臓の細胞増殖が異常に活性化していることが示唆された. また, 欠乏ラットでは肝臓障害の指標である血漿alanine aminotransfe...
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Published in | 日本栄養・食糧学会誌 Vol. 59; no. 4; p. 229 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本栄養・食糧学会
2006
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ISSN | 0287-3516 |
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Summary: | 飼料中のコバラミン(ビタミンB12)を欠乏させたラットでは著しい成長遅延が観察され, 20週齢での体重は欠乏群では正常群に比べ有意に低下していた. ところが, 肝臓重量は, 体重当たりで比較すると, 欠乏群で正常群に比較して有意に高値を示した. 細胞増殖の指標であるproliferating cell nuclear antigen(PCNA)の発現レベルを調べたところ, 欠乏ラットの肝臓では正常ラットに比べ有意な上昇がみられ, コバラミン欠乏ラットでは肝臓の細胞増殖が異常に活性化していることが示唆された. また, 欠乏ラットでは肝臓障害の指標である血漿alanine aminotransferase(ALT)活性も上昇していた(p<0.05). メチルマロン酸尿症を示すコバラミン欠乏患者の治療に用いられるL-カルニチン(0.5mmol)を欠乏ラットに1日2回2週間投与すると, 尿中メチルマロン酸排泄量が減少するとともに, 血漿ALT活性が正常レベルにまで低下した. しかしながら, 肝臓のPCNA発現レベルはカルニチン投与の影響を受けなかった. 次に, 欠乏ラットにメチオニン添加食(1kg当たり4g添加)を2週間与えたところ, 肝臓のPCNA発現レベルが正常化した. |
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ISSN: | 0287-3516 |