長鎖脂肪酸トリアシルグリセロールと比較した中鎖脂肪酸トリアシルグリセロール投与ラットにおけるより大きな食餌誘発性体熱産生とより少ない体脂肪蓄積(P.524-529)
以前の研究において, 中鎖脂肪酸トリアシルグリセロール(MCT)を含んだ飼料は, 長鎖脂肪酸トリアシルグリセロール(LCT)を含んだ飼料よりも体脂肪を減少させることが示されている. われわれは, MCT含有食を摂取したラットにおける体脂肪低蓄積性への食餌誘発性体熱産生の関与について検討を行った. 12匹の雄性ウィスターラットにゾンデを用いて1gのMCTまたはLCTを投与した後, 酸素消費量を6時間測定した(実験1). 10%のMCTまたはLCTを含む飼料を40匹のラットに6週間摂取させた後, 体組成の測定を行った(実験2). 実験1において酸素消費量の増加は, LCT投与後よりもMCT投与後の...
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Published in | 日本栄養・食糧学会誌 Vol. 56; no. 2; p. 147 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本栄養・食糧学会
2003
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Summary: | 以前の研究において, 中鎖脂肪酸トリアシルグリセロール(MCT)を含んだ飼料は, 長鎖脂肪酸トリアシルグリセロール(LCT)を含んだ飼料よりも体脂肪を減少させることが示されている. われわれは, MCT含有食を摂取したラットにおける体脂肪低蓄積性への食餌誘発性体熱産生の関与について検討を行った. 12匹の雄性ウィスターラットにゾンデを用いて1gのMCTまたはLCTを投与した後, 酸素消費量を6時間測定した(実験1). 10%のMCTまたはLCTを含む飼料を40匹のラットに6週間摂取させた後, 体組成の測定を行った(実験2). 実験1において酸素消費量の増加は, LCT投与後よりもMCT投与後の方が大きかった. LCTに比べてMCT1g投与による食餌誘発性体熱産生は, 0.67±0.14kcal有意に高かった. 実験2において, 飼料摂取量, 肝臓重量および屠体タンパク量は, LCT群とMCT群との間で有意な差はなかった. しかしながら, 屠体脂肪と内臓脂肪量は, LCT摂取ラットに比べてMCT摂取ラットにおいて有意に低かった. LCTと比較したMCT摂取1g当りの体脂肪の減少は, 0.94±0.27kcalと見積られた. これらの結果から, LCTに比べてMCT摂取ラットのより大きなDITは, MCT摂取による体脂肪蓄積抑制の主要因の1つであることが示唆された. |
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ISSN: | 0287-3516 |