新しいタイプのミルクカルシウムは,ハイドロキシアパタイト様のミルクカルシウムに比ベカルシウム生体利用性に優れている(p.390-394)

乳清から新しいタイプのミルクカルシウムを調製し, そのカルシウム生体利用性を, これまで優れたカルシウム源であるとされている従来型の乳清由来のミルクカルシウムと比較検討した. 乳清から中和, 沈澱法により調製された従来型のミルクカルシウム(NP-MCa)のX線回折像はハイドロキシアパタイト様であったが, UF膜法により調製された新しいタイプのミルクカルシウム(UF-MCa)のX線回折像はハイドロキシアパタイトと異なっていた. 成長期ラットにNP-MCaとUF-MCaをそれぞれカルシウム源とする飼料を33日間投与した結果, UF-MCa群のカルシウム吸収率は, NP-MCa群に比べ有意に高い値を...

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Published in日本栄養・食糧学会誌 Vol. 56; no. 1; p. 65
Main Authors 加藤健, 鳥羽保宏, 松山博昭, 青木孝良, 青江誠一郎, 高田幸宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本栄養・食糧学会 2003
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Summary:乳清から新しいタイプのミルクカルシウムを調製し, そのカルシウム生体利用性を, これまで優れたカルシウム源であるとされている従来型の乳清由来のミルクカルシウムと比較検討した. 乳清から中和, 沈澱法により調製された従来型のミルクカルシウム(NP-MCa)のX線回折像はハイドロキシアパタイト様であったが, UF膜法により調製された新しいタイプのミルクカルシウム(UF-MCa)のX線回折像はハイドロキシアパタイトと異なっていた. 成長期ラットにNP-MCaとUF-MCaをそれぞれカルシウム源とする飼料を33日間投与した結果, UF-MCa群のカルシウム吸収率は, NP-MCa群に比べ有意に高い値を示した. また, UF-MCa群の大腿骨カルシウム含量は, NP-MCa群に比べ有意に高く, 大腿骨の破断応力もUF-MCa群がNP-MCa群に比べ有意に高かった. さらに, 血清中のカルシウム濃度やアルカリフォスフォターゼ活性, カルシトニン濃度に差は認められなかったが, PTH濃度は, UF-MCa群がNP-MCa群に比べ有意に低い値を示した. 以上の結果より, 新しいタイプのミルクカルシウム(UF-MCa)は, ハイドロキシアパタイト様のミルクカルシウム(NP-MCa)に比べ, カルシウム生体利用性が高いことが示唆された.
ISSN:0287-3516