Swimming(水中運動)による軟骨形成促進効果について(p.238-241)

近年, 我が国は, 高齢化社会を迎え, 骨粗鬆症や変形性関節症などが重要な課題となっている. 非荷重運動であるSwimming(水中運動)では, 荷重のかかるRunningに比べ, 下肢への負担のかからないことから, 特に高齢者の骨粗鬆症や変形性関節症などの治療や予防としての有効性が注目されているが, その骨代謝改善への効果については不明な点が多い. そこで骨形成タンパク質(BMP:Bone morphogenetic protein)ペレットを用いた異所性骨形成実験系により, in vivoでSwimmingの効果を特に骨誘導の初期, すなわち未分化間葉系細胞から軟骨細胞への分化において比較...

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Published in日本栄養・食糧学会誌 Vol. 55; no. 4; pp. 241 - 242
Main Authors 山田麻子, 丸岡豊, 旭久美子, 飯村忠浩, 大井田新一郎, 江澤郁子, 五関曽根正江
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本栄養・食糧学会 2002
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ISSN0287-3516

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Summary:近年, 我が国は, 高齢化社会を迎え, 骨粗鬆症や変形性関節症などが重要な課題となっている. 非荷重運動であるSwimming(水中運動)では, 荷重のかかるRunningに比べ, 下肢への負担のかからないことから, 特に高齢者の骨粗鬆症や変形性関節症などの治療や予防としての有効性が注目されているが, その骨代謝改善への効果については不明な点が多い. そこで骨形成タンパク質(BMP:Bone morphogenetic protein)ペレットを用いた異所性骨形成実験系により, in vivoでSwimmingの効果を特に骨誘導の初期, すなわち未分化間葉系細胞から軟骨細胞への分化において比較検討を行った. SD系6週齢雌ラットを運動群(Swimming群)および非運動群(Control群)の2群に分け, 運動群には1日当り30分の水中運動を2週間負荷した. 運動負荷終了の翌日にウシ長管骨より塩酸グアニジンで抽出した一定量のBMP含有ペレットを実験動物の皮下に埋植した. 移植後5, 7, 10日後にペレットを取り出し, 2分割して, 片方を組織学的解析に, もう一方はRNAを抽出し, RT-PCR法により軟骨形成の指標として, BSP(bone sialoprotein)とBMP-6について各mRNAの発現を調べた. その結果, 運動群では, 非運動群に比べ, 埋植後7日目からBSP, BMP-6の強い発現が確認された. 一方, 組織的観察においても運動群では軟骨細胞が7日以降随所に認められたが, 非運動群では10日後でわずかに認められる程度であった. したがって本研究により水中運動による異所性軟骨形成の促進効果が明らかにされ, さらに全身的にも促進的に働いている可能性が示唆された.
ISSN:0287-3516