ホーチミン市の市街および農村地域高齢者の血圧と血漿コレステロール濃度およびそれらに影響する因子についての研究(p.147-155)
ベトナムでは血圧や血清脂質濃度そしてそれらに影響する因子に関する情報が少ないのでこれを少しでもあきらかにする目的で研究を行った. ホーチミン市の市街地と近郊の農村部に住む60-69歳の参加者217名(女性148名, 男性69名)で横断的栄養調査を行った. 体位測定, 血圧測定, 平日連続3日間の24時間思い出し法による栄養調査, ナトリウムとカリウム摂取量推定のための24時間尿採集, 空腹時血の生化学分析を行った. その結果, 高血圧者の多いことが明らかになった(都市部;女性35.5%, 男性43.8%, 農村部;女性22.2%, 男性35.1%). 血圧は, BMIおよび尿中Na/K比と有意...
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Published in | 日本栄養・食糧学会誌 Vol. 54; no. 3; pp. 187 - 188 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本栄養・食糧学会
2001
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ISSN | 0287-3516 |
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Summary: | ベトナムでは血圧や血清脂質濃度そしてそれらに影響する因子に関する情報が少ないのでこれを少しでもあきらかにする目的で研究を行った. ホーチミン市の市街地と近郊の農村部に住む60-69歳の参加者217名(女性148名, 男性69名)で横断的栄養調査を行った. 体位測定, 血圧測定, 平日連続3日間の24時間思い出し法による栄養調査, ナトリウムとカリウム摂取量推定のための24時間尿採集, 空腹時血の生化学分析を行った. その結果, 高血圧者の多いことが明らかになった(都市部;女性35.5%, 男性43.8%, 農村部;女性22.2%, 男性35.1%). 血圧は, BMIおよび尿中Na/K比と有意な関係がみられた. 都市部では血漿コレステロール値が220mg/dL以上の者(女性55.3%, 男性31.3%)および過体重者(女性34.2%, 男性25.0%)が多かった. 一方, 農村部では血漿コレステロール値の150mg/dL以下の者(女性5.6%, 男性25.0%)および低体重者(男女とも32.4%)が多かった. 血漿コレステロール値は体重, BMI, 食事タンパク質および脂質との相関が強かった. 以上の結果, 高血圧の多い理由は, 都市部では過体重と食事のNa/K比の高いこと, 農村部では食事のNa/K比の高いことが示唆された. 都市部で血漿コレステロール値の高値者が多い原因としては脂質摂取量が多いことが考えられた. また農村部で血漿コレステロール値が低い理由としては脂質摂取量が低いことが考えられた. |
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ISSN: | 0287-3516 |