Notes 正常およびアトピー性皮膚炎患者におけるビオチンの経皮吸収に関する研究 (p.347-352)

• Published in: 日本栄養・食糧学会誌 Vol. 52; no. 4; p. 243
• Main Authors: 牧野好夫, 長田和実, 曽根英行, 杉山公彦, 駒井三千夫, 伊藤道子, 角田健司, 古川勇次
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 日本栄養・食糧学会 1999
• ISSN: 0287-3516

本研究はビオチン含有軟膏の連続的使用による血清中ビオチン量の変化について検討したものである. 20人のアトピー性皮膚炎患者(平均20.5歳)および11人の健常成人(平均25.5歳)がボランティアとして本実験に参加した. アトピー性皮膚炎の診断は皮膚科学的に行った. ボランティア各位に承諾を得た後に0.3%ビオチンを含有する軟膏を1日7gずつ, ステロイド軟膏剤と併用し, 連日塗布した. 血清中ビオチン量は微生物学的方法によって定量した. ビオチン軟膏処理前のアトピー性皮膚炎患者の血清中ビオチン量は正常人と比較し, 有意に低値であり, 20人中9人の患者は正常者と同程度の血清中ビオチン量であったが, 残りの11人は低いレベルにあった. ビオチン軟膏による正常人およびアトピー性皮膚炎患者への経皮的塗布により血清中ビオチン量は有意に上昇し, 特にビオチン量の低いアトピー性皮膚炎患者において顕著であった. また, アトピー性皮膚炎患者の好酸球数の有意な減少が観察された. これらの結果より, ビオチンは正常人およびアトピー性皮膚炎患者において経皮的に吸収されることが示された.