胃摘出ラットのカルシウム吸収に及ぼす乳酸投与の影響 (p.869-875)

胃摘出手術を施したラットにL-乳酸濃度が0.5, 1.0, 2.5g/100g飼料になるように添加調整を行った飼料を28日間投与し, カルシウム吸収に及ぼす影響を調べた. 胃摘出手術を施したラットのカルシウム吸収および骨(大腿骨, 脛骨)カルシウム含量は偽手術ラットに比べ有意に低下した. 乳酸投与の影響を見ると, 飼料中の乳酸濃度が低い場合(乳酸0.5および1.0g/100g飼料)のカルシウム吸収および骨カルシウム含量に, 対照群との差は認められなかったが, 乳酸2.5g/100g飼料投与群において, 有意な増加が認められた. また, 乳酸2.5g/100g飼料投与群において, リン吸収および...

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Published in日本栄養・食糧学会誌 Vol. 52; no. 1; pp. 43 - 44
Main Authors 長南治, 高橋理恵, 保井久子, 綿貫雅章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本栄養・食糧学会 1999
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Summary:胃摘出手術を施したラットにL-乳酸濃度が0.5, 1.0, 2.5g/100g飼料になるように添加調整を行った飼料を28日間投与し, カルシウム吸収に及ぼす影響を調べた. 胃摘出手術を施したラットのカルシウム吸収および骨(大腿骨, 脛骨)カルシウム含量は偽手術ラットに比べ有意に低下した. 乳酸投与の影響を見ると, 飼料中の乳酸濃度が低い場合(乳酸0.5および1.0g/100g飼料)のカルシウム吸収および骨カルシウム含量に, 対照群との差は認められなかったが, 乳酸2.5g/100g飼料投与群において, 有意な増加が認められた. また, 乳酸2.5g/100g飼料投与群において, リン吸収および骨リン含量が有意に増加した. 今回, カルシウムおよびリン給源として不溶性のリン酸カルシウムを用いたが, 胃摘出により低下したリン酸カルシウムの可溶化が乳酸摂取によって促され, カルシウム吸収の増加および骨カルシウム含量の増加に寄与したものと考えられた.
ISSN:0287-3516