OLETFラットのスクロース嗜好性およびスクロースに対する味神経応答性に及ぼす食餌性ビオチンの影響(p.207-216)

本研究では糖尿病時にみられる異常なスクロース感受性と嗜好に対し, 食餌中ビオチンが及ぼす影響について, 糖尿病誘発モデルラットであるOLETF(Otsuka Long Evans Tokushima Fatty)を用い, 神経生理学的, 行動学的アプローチにより検討した. OLETFの舌へのスクロース(>1M)の刺激に対する鼓索神経応答は糖尿病非誘発性のLETO(Long-Evans Tokushima Lean)よりも高かった. しかし他の基本味物質(塩酸, 塩酸キニーネ, L-グルタミン酸など)による刺激では両群間で差はなかった. 二瓶選択実験によるスクロース溶液(>50mM)...

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Published in日本栄養・食糧学会誌 Vol. 51; no. 3; p. 147
Main Authors 角田健司, 長田和実, 駒井三千夫, 張紅, 森本和紀, 鈴木均, 古川勇次
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本栄養・食糧学会 1998
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Summary:本研究では糖尿病時にみられる異常なスクロース感受性と嗜好に対し, 食餌中ビオチンが及ぼす影響について, 糖尿病誘発モデルラットであるOLETF(Otsuka Long Evans Tokushima Fatty)を用い, 神経生理学的, 行動学的アプローチにより検討した. OLETFの舌へのスクロース(>1M)の刺激に対する鼓索神経応答は糖尿病非誘発性のLETO(Long-Evans Tokushima Lean)よりも高かった. しかし他の基本味物質(塩酸, 塩酸キニーネ, L-グルタミン酸など)による刺激では両群間で差はなかった. 二瓶選択実験によるスクロース溶液(>50mM)の摂取量は, OLETFの方がLETOよりも有意に多かった. OLETFに高ビオチン含有食を与えると, ビオチン基本食を与えられたOLETFに比べスクロース溶液(1.5~2M)に対する鼓索神経応答が有意に低下した. しかしながら, 食餌中のビオチン含量の差は二瓶選択実験によるスクロース溶液の摂取量にはほとんど影響を与えないか, あるいは与えてもそれはわずかな差にすぎなかった. これらの結果より, OLETFにおいて観察されたスクロースに対する感受性の違いは基本的には, OLETFとLETOの遺伝的な相違に基づくものであろうが, それは食餌中のビオチン含量によって修飾されることが明らかになった.
ISSN:0287-3516