インスリン非依存型糖尿病モデル動物OLETFラットの耐糖能障害に対する高レベルビオチン飼料の改善作用(p.517~526)

インスリン非依存型糖尿病(NIDDM)のモデル動物であるOLETFラットは生後16週齢頃から耐糖能障害と高インスリン血症を呈する. 本研究では, OLETFラットの耐糖能障害に対してビオチンによる改善があるか否かについて検討した. OLETFラットをビオチン含量の異なる3種類の飼料, 高ビオチン飼料(BH), 標準ビオチン飼料(BN), 基本飼料(BB)で13週齢から24週齢まで飼育した. 経口グルコース耐性試験は13週齢から22週齢までの間に4回行い, 同時に血漿インスリン含量を測定した. その結果, BB飼育で発症したOLETFラットの耐糖能障害がBH飼育では改善されていた. また, OL...

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Published in日本栄養・食糧学会誌 Vol. 50; no. 1; p. 92
Main Authors 張紅, 長田和実, 前橋賢, 伊藤道子, 駒井三千夫, 古川勇次
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本栄養・食糧学会 1997
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Summary:インスリン非依存型糖尿病(NIDDM)のモデル動物であるOLETFラットは生後16週齢頃から耐糖能障害と高インスリン血症を呈する. 本研究では, OLETFラットの耐糖能障害に対してビオチンによる改善があるか否かについて検討した. OLETFラットをビオチン含量の異なる3種類の飼料, 高ビオチン飼料(BH), 標準ビオチン飼料(BN), 基本飼料(BB)で13週齢から24週齢まで飼育した. 経口グルコース耐性試験は13週齢から22週齢までの間に4回行い, 同時に血漿インスリン含量を測定した. その結果, BB飼育で発症したOLETFラットの耐糖能障害がBH飼育では改善されていた. また, OLETF-BHラットはインスリン分泌が有意に制御されていてOLETFラットの高インスリン血症は顕著に改善された. OLETF-BHラットは他の群に比べ, 摂食量が有意に大きいにもかかわらず, 肥満傾向はなく, 体重の増加はControlのLETOラットと同程度に少なかった. これらの結果から, 高ビオチン飼料がNIDDMラットの耐糖能障害を改善できる可能性が示された.
ISSN:0287-3516