RBL-2H3細胞のヒスタミン蓄積および放出とWistarラット腹腔滲出細胞のロイコトリエン放出に及ぼす脂肪酸の効果

ラットの好塩基球白血病RBL-2H3細胞のヒスタミン蓄積および分泌とWistarラットより分離した腹腔滲出細胞のロイコトリエン放出に及ぼす脂肪酸の影響をI型アレルギー反応の発現との関連で検討した. RBL-2H3細胞を1mMの短鎖脂肪酸の存在下で24時間培養した際, とくに酪酸存在下でヒスタミン蓄積の顕著な増加が認められた. また, カルシウムイオノフォアA23187刺激により誘導されるヒスタミン放出は0.1mMの18~22個の炭素鎖および1~6個の二重結合を持つ不飽和脂肪酸で処理した細胞で亢進した. 一方, ラット腹腔滲出細胞のLTB4放出はn-3系とn-6のいずれも3個以上の二重結合を有す...

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Published in日本栄養・食糧学会誌 Vol. 49; no. 5; p. 282
Main Authors 山田耕路, 森充生, 松尾哲孝, 小治健太郎, 上山崇, 菅野道廣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本栄養・食糧学会 1996
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Summary:ラットの好塩基球白血病RBL-2H3細胞のヒスタミン蓄積および分泌とWistarラットより分離した腹腔滲出細胞のロイコトリエン放出に及ぼす脂肪酸の影響をI型アレルギー反応の発現との関連で検討した. RBL-2H3細胞を1mMの短鎖脂肪酸の存在下で24時間培養した際, とくに酪酸存在下でヒスタミン蓄積の顕著な増加が認められた. また, カルシウムイオノフォアA23187刺激により誘導されるヒスタミン放出は0.1mMの18~22個の炭素鎖および1~6個の二重結合を持つ不飽和脂肪酸で処理した細胞で亢進した. 一方, ラット腹腔滲出細胞のLTB4放出はn-3系とn-6のいずれも3個以上の二重結合を有する不飽和脂肪酸の存在下で阻害された. この阻害活性は二重結合数の増加とともに増大し, ドコサヘキサエン酸(DHA)が最も高い活性を示し, 0.1mMで完全な阻害, 10μMで35.5%阻害活性を示した. 疎水性のラジカル捕捉剤(9, 10-ジフェニルアンスラセン)と2種の抗酸化剤(ブチル化ヒドロキシトルエンおよびα-トコフェロール)はLTB4放出を阻害したが, 親水性化合物(マンニトールおよびアスコルビン酸)は阻害しなかった. これらの結果は, PUFAのみならず脂溶性の抗酸化性物質もまたLTB4放出を阻害することを示唆する.
ISSN:0287-3516