ビタミンB6欠乏およびインキュベーション中における細胞質アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの荷電の変化について(p.535-544)
ラット肝臓および腎臓の粗抽出液に存在する細胞質アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AspATc)のsubformを等電点電気泳動により分離し, イムノブロッティングおよび活性染色によってそれぞれ酵素タンパク質および活性を検出した. その結果, 正常ラットの肝臓および腎臓には少なくとも六つの等電点の異なるsubformが検出され, ピタミンB6欠乏により等電点が高いものから低いものへの移動が認められた. ビタミンB6欠乏の試料にピリドキサールリン酸を添加すると腎臓では正常パターンを示したが, 肝臓では部分的に正常パターンに近づいたがplの高い画分は検出されなかった. 37℃, 24時間インキ...
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Published in | 日本栄養・食糧学会誌 Vol. 43; no. 2; p. 147 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本栄養・食糧学会
1990
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ISSN | 0287-3516 |
Cover
Summary: | ラット肝臓および腎臓の粗抽出液に存在する細胞質アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AspATc)のsubformを等電点電気泳動により分離し, イムノブロッティングおよび活性染色によってそれぞれ酵素タンパク質および活性を検出した. その結果, 正常ラットの肝臓および腎臓には少なくとも六つの等電点の異なるsubformが検出され, ピタミンB6欠乏により等電点が高いものから低いものへの移動が認められた. ビタミンB6欠乏の試料にピリドキサールリン酸を添加すると腎臓では正常パターンを示したが, 肝臓では部分的に正常パターンに近づいたがplの高い画分は検出されなかった. 37℃, 24時間インキュベートすると, 肝臓, 腎臓いずれのsubformもB6欠乏ラット肝臓のパターンと類似のパターンに変化した. 酵素活性も低下したが, とくにB6欠乏ラット肝臓の酵素活性の失活が大きかった. また, この活性の失活はピリドキサールリン酸を加えても影響がなかったが, 基質を添加すると完全に防止できた. さらに, いったん失活した酵素も基質とピリドキサールリン酸を添加してインキュベーションを行うと活性を回復することを見いだした. このことは, インキュベーションによる失活はAspATc分子の活性領域における立体構造の変化によるものと思われる. |
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ISSN: | 0287-3516 |