高コレステロール食投与ラットの血漿および肝臓脂質濃度に及ぼす塩化コリンとボスファチジルコリンの影響(p.369-376)

ラットの血漿および肝臓脂質濃度に及ぼす食餌コリンの影響を塩化コリンとボスファチジルコリン(PC)を用いて比較検討した. コレステロール(CHOL)を含むコリン欠食(基本食)では血漿CHOL濃度は低く, これに塩化コリンを添加すると添加量に応じて血漿CHOL濃度は上昇した. 一方, PC添加によっても血漿CHOL濃度はコリン欠食に比べて約2倍に上昇したが, 塩化コリンに比べると上昇作用は明らかに弱かった. 血漿トリグリセリド濃度は塩化コリン群とPC群で差は見られなかった. 高レベル(5.65%)のPC添加食では糞中への中性ステロール排泄が増加し, 肝臓中のCHOLやトリグリセリド含量も低下したが...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本栄養・食糧学会誌 Vol. 41; no. 1; p. 66
Main Authors 杉山公男, 望月千穂子, 村松敬一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本栄養・食糧学会 1988
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:ラットの血漿および肝臓脂質濃度に及ぼす食餌コリンの影響を塩化コリンとボスファチジルコリン(PC)を用いて比較検討した. コレステロール(CHOL)を含むコリン欠食(基本食)では血漿CHOL濃度は低く, これに塩化コリンを添加すると添加量に応じて血漿CHOL濃度は上昇した. 一方, PC添加によっても血漿CHOL濃度はコリン欠食に比べて約2倍に上昇したが, 塩化コリンに比べると上昇作用は明らかに弱かった. 血漿トリグリセリド濃度は塩化コリン群とPC群で差は見られなかった. 高レベル(5.65%)のPC添加食では糞中への中性ステロール排泄が増加し, 肝臓中のCHOLやトリグリセリド含量も低下したが, 低レベル(1.13%)のPC添加食では影響が見られなかった. これらの結果は, 血漿CHOL濃度は食餌中の塩化コリンとPCによって異なる影響を受けること, また, PCは血漿CHOL濃度に対して上昇効果と上昇抑制効果の両方を有することを示している.
ISSN:0287-3516