κ-カゼインとβ-ラクトグロブリンとの複合体のゲル化(p.679~689)

κ-カゼインとβ-ラクトグロブリンとの混合液の見かけの粘度は, 加熱により増大した. 両タンパク質の混合液は, 8%濃度で加熱によってゲルを形成した. 加熱した混合液をキモシン処理すると, 低濃度でゲル化するようになり, 3%でゲル化した. ゲル形成には, κ-カゼインとβ-ラクトグロブリンとが複合体を形成することが必要であった. それゆえ, 加熱温度は70度以上でなければならなかった. ゲル化に伴って, 濁度は増加し, 可溶性タンパク含量が減少した. カルシウムイオンの添加は, 濁度を増加させた. タンパク濃度が高ければ高いほど, ゲルの破断力は大きくなった. カルシウムイオンは, ゲル破断...

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Published in日本栄養・食糧学会誌 Vol. 37; no. 2; p. 198
Main Authors 土井裕司, 井手野祥次, 伊吹文男, 金森正雄, 黄国風
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本栄養・食糧学会 1984
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Summary:κ-カゼインとβ-ラクトグロブリンとの混合液の見かけの粘度は, 加熱により増大した. 両タンパク質の混合液は, 8%濃度で加熱によってゲルを形成した. 加熱した混合液をキモシン処理すると, 低濃度でゲル化するようになり, 3%でゲル化した. ゲル形成には, κ-カゼインとβ-ラクトグロブリンとが複合体を形成することが必要であった. それゆえ, 加熱温度は70度以上でなければならなかった. ゲル化に伴って, 濁度は増加し, 可溶性タンパク含量が減少した. カルシウムイオンの添加は, 濁度を増加させた. タンパク濃度が高ければ高いほど, ゲルの破断力は大きくなった. カルシウムイオンは, ゲル破断力を低下させた.
ISSN:0287-3516