<一般演題>3. 長時間の大動脈遮断症例におけるMicroplegia法の有用性

【はじめに】心筋保護は心臓大血管手術において極めて重要であり, 手術成績を大きく左右する. 我々の施設では2009年12月からMicroplegiaを用いた心筋保護を実施している. 今回, 大動脈遮断時間が3時間以上の症例において従来のBlood cardioplegia(BCP)とMicroplegiaを比較検討したので報告する. 【対象および方法】2006年4月~2011年4月までに施行した大動脈遮断時間が3時間以上の開心術症例23例を対象とした. 従来のBCP群(A群)12例と, Microplegia群(B群)11例について各群の体外循環時間, 大動脈遮断時間, 人工心肺バランス, 術...

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Published in体外循環技術 Vol. 39; no. 1; p. 92
Main Authors 谷口慎吾, 清水良, 半田仁美, 加藤裕希, 松本年史, 川南聡, 朝井裕一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本体外循環技術医学会 2012
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Summary:【はじめに】心筋保護は心臓大血管手術において極めて重要であり, 手術成績を大きく左右する. 我々の施設では2009年12月からMicroplegiaを用いた心筋保護を実施している. 今回, 大動脈遮断時間が3時間以上の症例において従来のBlood cardioplegia(BCP)とMicroplegiaを比較検討したので報告する. 【対象および方法】2006年4月~2011年4月までに施行した大動脈遮断時間が3時間以上の開心術症例23例を対象とした. 従来のBCP群(A群)12例と, Microplegia群(B群)11例について各群の体外循環時間, 大動脈遮断時間, 人工心肺バランス, 術中バランス, 心筋保護液注入量, 人工心肺中血糖値, 大動脈遮断解除後自然心拍動率, ICU入室時P/F ratio, 術後CKについて比較検討した. 【結果】体外循環時間(分)はA群:286.8±63.5, B群:281.0±42.5, 大動脈遮断時間(分)はA群:223.1±47.4, B群:208.8±27.3, 人工心肺バランス(mL)はA群:-212.5±1066.2, B群:-640.4±1492.8, 術中バランス(mL)はA群:530.7±1970.0, B群:186.4±2341.7と有意差を認めなかった. 心筋保護液注入量(mL)はA群:2312.9±787.5, B群:243.0±109.6, 人工心肺中血糖値(mg/dL)はA群:514.4±108.3, B群:229.5±59.1となりA群で有意に高かった. 自然心拍動率(%)はA群:42%, B群:73%とB群で高い傾向であった. 術後CK値(IU/L)はA群:2227.9±1363.0, B群:1342.6±628.7とB群で有意に低かった. またICU入室時P/F ratioはA群:266.3±97.2, B群:264.1±96.7で有意差を認めなかった. 【考察】大動脈遮断時間が3時間以上の症例で, 従来のBCPとMicroplegiaでは体外循環時間, 大動脈遮断時間は同様であった. また以前からBCP群では積極的に除水を施行しており人工心肺バランスおよび術中バランスにも違いを認めなかった. しかし, Microplegia群では自然心拍動率が高く, また術後CK値も低値であった. このことからMicroplegiaでは長時間の大動脈遮断症例でも心筋を十分に保護できていると考えられ, ハイリスクな症例において有用であると考えられる. 【結論】Microplegia法は自然心拍動率が高く, 術後CKの上昇も少ない. 大動脈遮断時間が長い症例やハイリスクな症例において有用である.
ISSN:0912-2664