4. ドップラーエコー法による術中冠動脈グラフト評価

「要旨」冠動脈バイパス術の術中グラフト評価は手術成績を上げる点で非常に重要である. 今回その評価法としてドップラーエコー法を用いた方法が有用であるか検討を行ったので報告する. パルスドップラーから得られるグラフトの正常血流速波形は拡張期優位の二相性波形を呈した. その血流速波形のパターンやカラードップラーでの血流の有無によりグラフト機能の評価を行った. 血流速波形が収縮期成分のみで拡張期パターンが認められなかった2例に対して再吻合を施行した. 再建後の血流速波形は拡張期優位のパターンを示した. グラフト血流は灌流領域, グラフトの流れ易さおよび自己の冠動脈の狭窄度や屈曲, 末梢の流れ方などによ...

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Published in体外循環技術 Vol. 37; no. 2; pp. 146 - 149
Main Authors 森本誠二, 櫻田卓, 山本浩幸, 澤田美佳, 大澤久慶, 荒木英司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本体外循環技術医学会 2010
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Summary:「要旨」冠動脈バイパス術の術中グラフト評価は手術成績を上げる点で非常に重要である. 今回その評価法としてドップラーエコー法を用いた方法が有用であるか検討を行ったので報告する. パルスドップラーから得られるグラフトの正常血流速波形は拡張期優位の二相性波形を呈した. その血流速波形のパターンやカラードップラーでの血流の有無によりグラフト機能の評価を行った. 血流速波形が収縮期成分のみで拡張期パターンが認められなかった2例に対して再吻合を施行した. 再建後の血流速波形は拡張期優位のパターンを示した. グラフト血流は灌流領域, グラフトの流れ易さおよび自己の冠動脈の狭窄度や屈曲, 末梢の流れ方などによっても影響されるため血流速波形パターンには多様性が多く存在する. 術中グラフト評価に吻合部形態やグラフトの血流速波形の情報を得られるドップラーエコー法を用いた評価方法は有用であると考えられた. 「I. 目的」近年超音波技術の発達により, 冠動脈バイパス術後のグラフト血流評価において体表アプローチによるドップラーエコー法が定着してきている.
ISSN:0912-2664