N10-4 手術支援用ロボット使用下における心房中隔欠損孔閉鎖術の体外循環法

【目的】近年, 胸部心臓大血管手術の低侵襲化が進んでいる. 今回, 手術支援用ロボットda Vinciを用いた完全内視鏡下の心房中隔欠損孔(ASD)閉鎖術の体外循環を経験したので報告する. 【対象】2008年1月より5月までにda Vinciを使用して内視鏡下に行った心房中隔欠損孔閉鎖術の症例4例を対象とした. 【方法】体位は左半側臥位, 呼吸は分離肺換気とし, 右前胸部に内視鏡用のポートを4ヶ所作り右房よりASDへアプローチした. 体外循環は右大腿動脈送血とし, 右内頸静脈より上大静脈へ, 右大腿静脈より下大静脈へと脱血管を挿入し, 脱血量の不足分は吸引脱血を使用した. 大動脈遮断は大動脈遮...

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Published in体外循環技術 Vol. 35; no. 3; p. 313
Main Authors 佐藤洋平, 朝日亨, 小林英知, 五十嵐雅史, 服部敏温, 秦野直, 高田宗尚, 菊池祐二郎, 牛島輝明, 石川紀彦, 渡邊剛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本体外循環技術医学会 2008
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Summary:【目的】近年, 胸部心臓大血管手術の低侵襲化が進んでいる. 今回, 手術支援用ロボットda Vinciを用いた完全内視鏡下の心房中隔欠損孔(ASD)閉鎖術の体外循環を経験したので報告する. 【対象】2008年1月より5月までにda Vinciを使用して内視鏡下に行った心房中隔欠損孔閉鎖術の症例4例を対象とした. 【方法】体位は左半側臥位, 呼吸は分離肺換気とし, 右前胸部に内視鏡用のポートを4ヶ所作り右房よりASDへアプローチした. 体外循環は右大腿動脈送血とし, 右内頸静脈より上大静脈へ, 右大腿静脈より下大静脈へと脱血管を挿入し, 脱血量の不足分は吸引脱血を使用した. 大動脈遮断は大動脈遮断鉗子をポートより挿入し遮断した. 心筋保護液は大動脈基部より注入針をロボット補助下に挿入して順行性にて注入した. 内視鏡下にてASDを閉鎖, 大動脈遮断解除となり心拍再開の後, 心筋保護液注入針を抜去して体外循環より離脱となった. 【結果】平均体外循環時間98.8±20.6分, 平均大動脈遮断時間22.5±8.2分であった. 3例は完全内視鏡下にて行えたものの1例は心筋保護液の注入が思わしくなく右小開胸の手術となった. 【考察および結語】通常の開心術との大きな違いは心臓が直視下で見られない事と術者が術野ではなくコンソールに座ってアームを操作している事である. 心肺操作者としては適正灌流量を維持するため吸引脱血が必須であり, それでも脱血が思わしくないときは脱血管の位置を術野にて調整する必要があった. 吸引圧は-30mmHgから-60mmHgの間で調整した. また術者がコンソールの手術画面に集中できるように10分間隔で術者に心肺時間を知らせた. 離鋭時は心臓が直視下で見られない為, 経食道心エコーでの心臓の大きさと肺動脈圧の数値を循環動態の指標とした. 心筋保護注入針の挿入が困難な為, 右小開胸となった症例が1例あったものの術後2~3日にて軽快退院となり, 術後の創傷も小さく, 患者にとって満足の高い手術法であった.
ISSN:0912-2664