N4-4 当院における院外心肺停止患者に対するPCPSを用いた脳低体温療法

【はじめに】2005年にAHAから心肺蘇生(CPR)のガイドライン2005が報告された. その中で低体温療法と侵襲的CPRのEBMレベルはClass IIbと分類され救急領域において注目を集めている. 我々も以前より院外心肺停止患者に対し, PCPSを用いた侵襲的CPRと二次的脳損傷を防止するための脳低体温療法を組み合わせた蘇生法を行ってきた. そこで, 当院におけるPCPSを用いた脳低体温療法の手法と治療成績について報告する. 【対象】2003年7月から2006年8月に当院に搬送された18歳から74歳までの院外心肺停止患者の内, 標準的CPRに反応せず蘇生の手段としてPCPSと脳低温療法を用...

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Published in体外循環技術 Vol. 35; no. 3; p. 297
Main Authors 二藤部英治, 三木隆弘, 古川エミ
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本体外循環技術医学会 2008
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Summary:【はじめに】2005年にAHAから心肺蘇生(CPR)のガイドライン2005が報告された. その中で低体温療法と侵襲的CPRのEBMレベルはClass IIbと分類され救急領域において注目を集めている. 我々も以前より院外心肺停止患者に対し, PCPSを用いた侵襲的CPRと二次的脳損傷を防止するための脳低体温療法を組み合わせた蘇生法を行ってきた. そこで, 当院におけるPCPSを用いた脳低体温療法の手法と治療成績について報告する. 【対象】2003年7月から2006年8月に当院に搬送された18歳から74歳までの院外心肺停止患者の内, 標準的CPRに反応せず蘇生の手段としてPCPSと脳低温療法を用いた全症例とした. 【方法】PCPSとIABPを導入し, 直ちに人工肺に付属した熱交換器を用いて目標深部体温と定めた34℃までの冷却と, 冠再灌流療法を行い心拍の再開を図った. 心拍再開後, 当院で定めた体温管理プロトコールに従い, 目標深部体温である34℃を24~72時間維持した. 復温は24時間掛け35℃まで上昇させ35℃を24時間維持した後, 24時間掛け36℃まで上昇させた. 検討項目はPCPSの離脱率, 生存退院率, 社会復帰率とした. 【結果】症例数は男性49例, 女性8例の計57例. 年齢は25歳から72歳であった. 深部体温は, 脳低温療法施行中に死亡が確認された症例を除き, プロトコールに即した管理が行えた. PCPSの離脱率は42.1%, 生存退院率は29.8%, 社会復帰率は10.5%であった. 【結語】PCPSを用いてプロトコールに従った深部体温管理が行えた. しかし, 生存退院率は29.8%に達したが, 社会復帰率は10.5%であり, 「良好な神経学的転帰」を得る症例を増やすには, 更なる脳保護の手法が必要と考えた.
ISSN:0912-2664