P12 手術室における過電流防止の取組み-過電流用遮断器への負荷

【目的】心臓手術時には, 多くの医療機器が使用されているが, 絶縁トランスや過電流用遮断器(ブレーカ)の容量により, 接続使用できる機器の数が限定される. 多くの機器を同一コンセントに接続した場合, 電流の増加によりブレーカが動作し通電が遮断される. 手術中の通電の遮断は, 患者の生命を脅かすものであり回避しなければならない. そこで我々の事故防止としての取組みを紹介する. 【方法】当院で心臓手術時に使用されている機器とコンセントとの間に自作の測定回路を接続し, クランプ式電流計を用いて一台ごとに電流を測定した. また独自の記入フォームを作成し総電流量を把握した. 【結果, 考察】(1)ブレー...

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Published in体外循環技術 Vol. 30; no. 3; p. 253
Main Authors 田上佳奈, 松本恵子, 糸川珠美, 角野令子, 近藤千裕, 西山登司雄, 今村愛美, 片岡三香, 笹山奈美子, 福岡和秀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本体外循環技術研究会 2003
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ISSN0912-2664

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Summary:【目的】心臓手術時には, 多くの医療機器が使用されているが, 絶縁トランスや過電流用遮断器(ブレーカ)の容量により, 接続使用できる機器の数が限定される. 多くの機器を同一コンセントに接続した場合, 電流の増加によりブレーカが動作し通電が遮断される. 手術中の通電の遮断は, 患者の生命を脅かすものであり回避しなければならない. そこで我々の事故防止としての取組みを紹介する. 【方法】当院で心臓手術時に使用されている機器とコンセントとの間に自作の測定回路を接続し, クランプ式電流計を用いて一台ごとに電流を測定した. また独自の記入フォームを作成し総電流量を把握した. 【結果, 考察】(1)ブレーカごとの電流量を把握するため, 各機器の表面に電流量をシールで表示した. これにより, 単純合計にて一絶縁トランス回路に集まる電流量を把握することができた. (2)記入フォームに使用する機器名と電流量を記入するだけで, 総電流量を把握できた. (3)多くの電流を必要とする機器は, 同じ回路への接続を禁止し単独使用とした. またその旨を表示した. (4)原則として, 手術室内の蛸足配線を廃止し, シンプルな配線を心がけた. (5)機器配置図にコンセント接続個所を表示し, ルームセッティング時に活用した. 従来は機器に表示されている定格電流を参考に, 過電流警報器を頼りに電源確保を行ってきたが, 今回の取組みにより, 実際に流れている電流量を把握することができた. 【結論】医療機器の定格電流は, 背面に小さく表示されていることが多く, 消費電流を把握するのは困難であったが, シールでの表示という単純対策で手術の安全性が高められると考える. また, 機器ごとに使用するコンセントを指定することで, 電流を適切に分散し, 過電流による通電の遮断および火災を防止し, より安全性が高まった. 今後, 心臓手術に限らず, あらゆる手術にも対応していきたい.
ISSN:0912-2664