29 人工心肺中における血液透析法の比較検討
【目的】近年, 慢性腎不全患者や人工透析患者に対する開心術が増加傾向にある. 今回我々は人工心肺中に一般的な血液透析法と透析液にサブラッドB液を用いた持続灌流式血液透析法を施行した症例の血液検査結果を比較検討したので報告する. 【対象】1993年9月から2002年4月までに当院で行った人工心肺症例1787例のうち, 人工心肺中に血液浄化を施行した120例を検討対象とした. 【方法】検討対象を2群に分類した. A群は, 1993年9月から1998年4月までの症例で, 人工心肺中に限外濾過器として用いるトリアセテート型ダイアライザーに個人用血液透析装置を装着, キンダリーAF-2号を透析液として用...
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Published in | 体外循環技術 Vol. 29; no. 3; p. 268 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本体外循環技術研究会
2002
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ISSN | 0912-2664 |
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Summary: | 【目的】近年, 慢性腎不全患者や人工透析患者に対する開心術が増加傾向にある. 今回我々は人工心肺中に一般的な血液透析法と透析液にサブラッドB液を用いた持続灌流式血液透析法を施行した症例の血液検査結果を比較検討したので報告する. 【対象】1993年9月から2002年4月までに当院で行った人工心肺症例1787例のうち, 人工心肺中に血液浄化を施行した120例を検討対象とした. 【方法】検討対象を2群に分類した. A群は, 1993年9月から1998年4月までの症例で, 人工心肺中に限外濾過器として用いるトリアセテート型ダイアライザーに個人用血液透析装置を装着, キンダリーAF-2号を透析液として用いシングルパス方式の透析を行った50例で, B群は, 1998年5月から2002年4月までの症例で, 術前透析を行い, ポリスルフォン型ダイアライザーと持続灌流式血液透析装置を使用し, サブラッドB液を透析液として用いシングルパス方式の透析を行った70例である. 両群ともに人工心肺開始直後から血液透析を開始し, 人工心肺終了直前まで施行した. 両群間の人工心肺前, 人工心肺後の血液検査(TP, Alb, BUN, Na, K)を比較検討した. 比較検討するに当たり, 両群間の, 年齢, 身長, 体重, 体外循環時間(血液透析時間)に統計学的有意差は認めなかった. 【結果および考察】両群のTP, Alb値は心肺開始前より心肺終了後の値が有意に低値であったが, これは人工心肺による血液希釈が原因と考えられる. 両群とも人工心肺終了後のBUN, Na, K値は人工心肺開始前の検査値よりも有意に低値であり, また人工心肺終了後の検査値は両群間において有意差はなかった. このことから人工心肺終了時点での両群間の血液検査結果の差は, ほとんどないと考えられ, B群の方法を用いた場合でもA群と同程度の血液透析を施行することが可能であると考える. 【結論】人工心肺中の血液浄化は, 一般的な人工透析と同様に, サブラッドB液と持続灌流式血液透析装置を用いた簡易的な方法も有用な手段であり, 良好な結果を得ることが可能である. |
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ISSN: | 0912-2664 |