5.膜型人工肺キャピオックスRXと従来の人工肺との比較
【目的】今回, ガス交換能に優れ, ポリ2メトキシエチルアクリエート(PMEA)コーティングにより生体適合性を増した, テルモ社製キャピオックスRX人工肺を使用する機会を得たので, ノンコーティングポリプロピレン人工肺と比較検討した. 【対象と方法】対象は平成12年3月から4月までに行った人工心肺使用手術20例のうち, 小開胸手術で行った7例とした. キャピオックスRX使用症例をRX群(n=4), ノンコーティングポリプロピレン人工肺使用症例をC群(n=3)とし, 2群に分けて比較した. 人工心肺開始時(CPBS), 人工心肺開始1時間後(CPB1), 人工心肺ウィーニング時(CPBW), 人...
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Published in | 体外循環技術 Vol. 28; no. 2; pp. 80 - 81 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本体外循環技術研究会
2001
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Summary: | 【目的】今回, ガス交換能に優れ, ポリ2メトキシエチルアクリエート(PMEA)コーティングにより生体適合性を増した, テルモ社製キャピオックスRX人工肺を使用する機会を得たので, ノンコーティングポリプロピレン人工肺と比較検討した. 【対象と方法】対象は平成12年3月から4月までに行った人工心肺使用手術20例のうち, 小開胸手術で行った7例とした. キャピオックスRX使用症例をRX群(n=4), ノンコーティングポリプロピレン人工肺使用症例をC群(n=3)とし, 2群に分けて比較した. 人工心肺開始時(CPBS), 人工心肺開始1時間後(CPB1), 人工心肺ウィーニング時(CPBW), 人工心肺離脱後10分(CPBF)の4期に分け, 人工心肺中の換気血流比(V/Q), 酸素運搬能(O2T), 二酸化炭素排出率(CO2E), 血小板保存率, 血小板第4因子, インターロイキン6(IL-6), ブラジキニン, TAT, PICを測定した. 【結果】O2T, CO2Eは, RX群とC群では有意差はなかった. V/Qは, RX群で低い傾向にあった. ブラジキニン, TAT, 血小板第4因子は, 両群間に有意差はなく, 血小板保存率はRX群で高く, IL-6, PICはRX群で低い傾向にあった. 【結語】V/Qは, 患者の状態により頻繁に設定を変えるため, 酸素運搬能や二酸化炭素排出率は, ほとんど変化がないものの, RX群でV/Qが低いことはRX群のガス交換能の高さを示唆された. また, IL-6がRX群で低くサイトカインの活性を抑えていること, 凝固系を抑制し, 血小板を保存したことは, PMEAが優れた生体適合性を示したと考えられた. |
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ISSN: | 0912-2664 |