38. 摂食・嚥下障害のチームアプローチへ向けた取り組み
[はじめに] 昭和大学藤が丘リハビリテーション病院において摂食嚥下障害へのチームアプローチに取り組み始めてから1年が経過した. その過程でいくつかの知見を得たので, 経過とともに報告する. [方法] 取り組み以前, 当院では摂食嚥下障害に対するアプローチはほとんど行われていなかった. このような, まったく素地のないところから取り組みを始めるにあたり, まずチームアプローチの核となる要素として知識(基礎的知識専門知識)意識(摂食嚥下リハビリテーションの必要性の認識連帯感)組織(情報交換の場, リーダーおよびコーディネータの必要性個々のニーズに対応できるシステム)という3つの柱を考えた. この3...
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Published in | 聴能言語学研究 Vol. 17; no. 3; p. 189 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本聴能言語学会
2000
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ISSN | 0912-8204 |
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Summary: | [はじめに] 昭和大学藤が丘リハビリテーション病院において摂食嚥下障害へのチームアプローチに取り組み始めてから1年が経過した. その過程でいくつかの知見を得たので, 経過とともに報告する. [方法] 取り組み以前, 当院では摂食嚥下障害に対するアプローチはほとんど行われていなかった. このような, まったく素地のないところから取り組みを始めるにあたり, まずチームアプローチの核となる要素として知識(基礎的知識専門知識)意識(摂食嚥下リハビリテーションの必要性の認識連帯感)組織(情報交換の場, リーダーおよびコーディネータの必要性個々のニーズに対応できるシステム)という3つの柱を考えた. この3つの柱を築いていくための手段として看護婦, 栄養士, コメディカルなど多職種が参加できる勉強会を発足させ, 講演会や意見交換を行った. [経過] 勉強会発足後3ヵ月が経過してから, 嚥下リハに対する動きが出始め, 嚥下カンファレンスが開始され, 11ヵ月後には嚥下食が導入された. 言語治療士によるより詳細な評価も可能となった. 言語治療士に処方が出た患者の栄養摂取方法の変化をみると, 鼻腔チューブで入院した8名のうち7名はチューブがとれ, 6名は何らかの形で経口摂取可能となった. [まとめ] 部門間の連携の強化, より細かなニーズに対応できる組織の確立など今後取り組むべき課題はたくさん残されているが, この1年間でチームアプローチの形を作ることができた背景には定期的な勉強会の開催があると考えられる. チームアプローチを進めていくためには関連全部門が集まり, 知識や意識を高め, 組織の形成を促進するための場をまず確保することが重要であることが示唆された. |
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ISSN: | 0912-8204 |