41. 口蓋裂矯正治療終了時期の言語について
[目的] 唇顎口蓋裂患者の矯正治療終了時期の構音の状態を明らかにし, 構音の状態と日常会話への適応について考察する. 対象は, 1977年1月から1981年12月までに当院口腔外科で2歳以下で口蓋形成手術を行い, 難聴などの合併症をもたない症例で,現在17-22歳の症例169例中, 日本語構音すべてについて確認ができた148例である. [方法] 構音検査, 性格検査, 日常会話のチェックリストを実施し, 検討を行った. [結果] ほぼ半数が10年以上のfollow upで, follow up率は88%であった. 148例の言語成績は, 正常構音が99例(67%), 異常構音が49例(33%)...
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Published in | 聴能言語学研究 Vol. 14; no. 2; p. 116 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本聴能言語学会
1997
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ISSN | 0912-8204 |
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Summary: | [目的] 唇顎口蓋裂患者の矯正治療終了時期の構音の状態を明らかにし, 構音の状態と日常会話への適応について考察する. 対象は, 1977年1月から1981年12月までに当院口腔外科で2歳以下で口蓋形成手術を行い, 難聴などの合併症をもたない症例で,現在17-22歳の症例169例中, 日本語構音すべてについて確認ができた148例である. [方法] 構音検査, 性格検査, 日常会話のチェックリストを実施し, 検討を行った. [結果] ほぼ半数が10年以上のfollow upで, follow up率は88%であった. 148例の言語成績は, 正常構音が99例(67%), 異常構音が49例(33%)であった. 裂型からは両側唇顎口蓋裂に最も多く異常構音がみられ, ついで片側唇顎口蓋裂, 口蓋裂単独の順であった. 異常構音49例のほとんどは閉鎖機能に関連しない歪み音であったが, 最も多かったのは口蓋化構音で23例(46.9%)を占めた. ついで多かった鼻漏出による子音の歪みは, いずれも顎裂部や穿孔の拡大によると推察された. 次に148例のうち, 最終的治療をほぼ終了, あるいは就職などの事情で治療を終了せざるをえなかった19例については, 実際の生活の中で自分の会話についてどのように感じているのかをみるために会話場面のチェックリストを実施した. 正常構音症例18例のチェックリストの平均をYG性格検査の類型別にみると, E類型の平均点が最も低かった. 会話の対象別にみると「電話, 知らない人, 大勢の人」との会話が, 「家族, 知人」との会話より低い傾向がみられた. 異常構音のまま治療を終了せざるをえなかった1例のチェックリストの全体の平均は低く, 家族以外との会話ではすべて正常構音症例より低かった. [考察結論] 矯正終了時期に正常構音を獲得しているか否かが, 日常生活に欠くことのできない会話に影響することが確認された. 最終治療時期まで正常構音を獲得する努力が必要と思われた. |
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ISSN: | 0912-8204 |