R-4. 脳イメージングを用いた語彙習得における大脳半球の賦活化の検討(その1)
【はじめに】語彙発達における語彙のマッピングメカニズムについて近赤外光計測法(Near・Infrared Spectroscopic Imaging, 以下NIRS)を用いて検討する. 予測実験を, 健常成人男性を対象に実施した結果について報告する. NIRSは, 透過性の高い近赤外光を頭皮上に照射し, 再び頭皮上に戻る反射光を検出することで, 大脳皮質の血液量がわかり, 大脳の賦活化状態を計測するというものである. 【方法】被験者は成人女子(21歳), 右利き. 空間分解を高めた高選択性プローブ配列を作製した. 頭部に片側15チャンネル, 計30チャンネルの計測が可能としたプロープを装着した...
Saved in:
Published in | コミュニケーション障害学 Vol. 24; no. 3; p. 240 |
---|---|
Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本コミュニケーション障害学会
2007
|
Online Access | Get full text |
Cover
Loading…
Summary: | 【はじめに】語彙発達における語彙のマッピングメカニズムについて近赤外光計測法(Near・Infrared Spectroscopic Imaging, 以下NIRS)を用いて検討する. 予測実験を, 健常成人男性を対象に実施した結果について報告する. NIRSは, 透過性の高い近赤外光を頭皮上に照射し, 再び頭皮上に戻る反射光を検出することで, 大脳皮質の血液量がわかり, 大脳の賦活化状態を計測するというものである. 【方法】被験者は成人女子(21歳), 右利き. 空間分解を高めた高選択性プローブ配列を作製した. 頭部に片側15チャンネル, 計30チャンネルの計測が可能としたプロープを装着した. 課題に用いた単語は, 大学生に実施した単語調査により, 事物は見たことがあるが名称が不明と判断された単語5語(拍子木, 薬研, 自在鉤, 五徳, 茶筅)と高頻度語(車, 時計, コップ, 魚, 鋏)の5語を用い, レスト40秒, 刺激絵呈示5秒の事象関連デザインで実施した. 刺激提示された絵については, その名称を書き取らせた. 結果の処理では, 高頻度語と名称不明語の結果を加算平均し, 統計的な検討を加えた. 【結果および考察】左半球の賦活を比較すると, 高頻度語・名称不明語による賦活部位および賦活量の違いがあった. 高頻度語では, 有意差が認められたチャンネルは15チャンネル中2チャンネルのみであった. 名称不明語では, 15チャンネル中14チャンネルで有意な賦活がみられた. 高頻度語においては前頭前野で, 名称不明語においては, 前頭葉, 側頭葉領域の広範な領域での有意な血流量の増加であった. 高選択制プローブ配列による測定により, Oxy-Hb・Deox-Hbの変化を捉えることができ, 賦活部位の特定が可能であることが示唆された. 語彙を照合する際には, 言語野の広範な領域が関与する可能性があることが示唆された. 今後は高選択制プローブ配列とMRI画像の重ね合わせを行い, 賦活領域の特定を行う. |
---|---|
ISSN: | 1347-8451 |