P-25)意識障害を主訴としたHHV6関連辺縁系脳炎と考えられた1例
乳児における突発性発疹の原因となるHHV6は, 再活性化により成人においても様々な病態を形成することが知られている. 今回はHHV6感染により発症した辺縁系脳炎の成人例を経験したので報告する. 症例は37歳男性. 意識障害を主訴として当院に救急搬送された. 採血, 画像検査にて明らかな異常所見認めず, 髄液所見では単核球優位の細胞数増多と蛋白軽度上昇を認めた. 入院後発熱も認められたためヘルペス性脳炎を疑い抗ウイルス治療を開始, 第4病日には意識レベルは改善し始め第5病日意識清明となった. その後, 特に後遺症を残さず第15病日, 退院となった. 脳脊髄液検査ではHHV6のDNA(varian...
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Published in | 日本医科大学医学会雑誌 Vol. 7; no. 4; p. 212 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本医科大学医学会
2011
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Summary: | 乳児における突発性発疹の原因となるHHV6は, 再活性化により成人においても様々な病態を形成することが知られている. 今回はHHV6感染により発症した辺縁系脳炎の成人例を経験したので報告する. 症例は37歳男性. 意識障害を主訴として当院に救急搬送された. 採血, 画像検査にて明らかな異常所見認めず, 髄液所見では単核球優位の細胞数増多と蛋白軽度上昇を認めた. 入院後発熱も認められたためヘルペス性脳炎を疑い抗ウイルス治療を開始, 第4病日には意識レベルは改善し始め第5病日意識清明となった. その後, 特に後遺症を残さず第15病日, 退院となった. 脳脊髄液検査ではHHV6のDNA(variant A)が同定され, HHV6による辺縁系脳炎と診断した. これまでの報告では, HHV6の直接的影響と免疫介在性の可能性が示唆されている. 中枢神経障害は, 初発症状として見当識障害, 短期記憶障害が挙げられ, 脳脊髄液中のHHV6DNAの証明により診断される. 本症例も意識障害を呈し, 基礎疾患を認めず, HHV6DNAが証明されたのでHHV6関連性辺縁系脳炎と考えた. しかし血清HHV-6 IgM上昇は認めておらず, 免疫介在性の可能性も示唆される. 本脳炎は免疫抑制状態の患者だけでなく健常成人でも自己免疫学的機序に脳炎を発症する可能性があり, 髄液検査, 頭部MRI, ウイルスDNA量を組み合わせることが補助診断として重要と思われる. |
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ISSN: | 1349-8975 |