P-34)輸液療法室における血管外漏出発生時の現状:血管外漏出の早期発見について

目的:化学療法中の副作用として, 血管外漏出の発生頻度は一般的に0.5~6.5%といわれており, 輸液療法室でも毎年数件発生している. 化学療法の中には, 血管外漏出により皮膚壊死を起こす危険性のある薬剤があることから, 点滴刺入部の異常の早期発見と対処は重要である. 今回, 現在の点滴管理方法を評価・再検討するにあたり, 血管外漏出の発生状況や傾向を知る必要があると考えた. 対象および方法:2009年4月1日~2010年3月31日に輸液療法室で発生した血管外漏出のインシデント・アクシデント報告を集計した. 結果:末梢静脈での血管外漏出は4件であった. すべて65歳以上で点滴刺入困難な患者か,...

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Published in日本医科大学医学会雑誌 Vol. 6; no. 4; p. 224
Main Authors 腹子あきこ, 宮田広樹, 岸田悦子, 弦間昭彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2010
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Summary:目的:化学療法中の副作用として, 血管外漏出の発生頻度は一般的に0.5~6.5%といわれており, 輸液療法室でも毎年数件発生している. 化学療法の中には, 血管外漏出により皮膚壊死を起こす危険性のある薬剤があることから, 点滴刺入部の異常の早期発見と対処は重要である. 今回, 現在の点滴管理方法を評価・再検討するにあたり, 血管外漏出の発生状況や傾向を知る必要があると考えた. 対象および方法:2009年4月1日~2010年3月31日に輸液療法室で発生した血管外漏出のインシデント・アクシデント報告を集計した. 結果:末梢静脈での血管外漏出は4件であった. すべて65歳以上で点滴刺入困難な患者か, トイレ移動などの動作後に発生していた. また発生部位は, 発見時3cm以上腫脹しており, 疼痛などの自覚症状がなかった. 第一発見者は他者で, 定期的な点滴の確認時による看護師の発見が3件, 付き添いの家族の発見が1件であった. 考察:血管外漏出の発生は一般的に高リスクといわれる患者で発生していた. 早期発見のための観察方法として, 疼痛の自覚症状の有無を確認することがいわれているが, この方法が必ずしも早期発見につながるとは言い難いことがわかった. これまで, 15分ごとの刺入部の観察やトイレ移動後の観察行為が, 早期発見につながっている. 今後もこの点滴管理方法を継続しさらに強化するための対策を検討したいと考える.
ISSN:1349-8975