P-13)付属病院における抗菌薬の使用動向

目的:近年, 感染症治療は, 強い抗菌力・広い抗菌スペクトルを有する抗菌薬の開発により, 著しく進歩してきた. しかし, MRSA・緑膿菌をはじめ多剤耐性菌の出現が問題となり, 抗菌薬の適正な使用が求められている. 抗菌薬の使用動向は, 細菌の耐性化と密接な関係があることから, われわれは継続して調査を行ってきた. 今回は当院における2000~2009年度の10年間における抗菌薬使用動向, 主要菌種の分離菌頻度推移および耐性化について検討したので報告する. 対象および方法:過去10年間における抗菌薬使用動向の集計を行った. 主要菌種の分離菌頻度推移および耐性化については中央検査部のデータをもと...

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Published in日本医科大学医学会雑誌 Vol. 6; no. 4; p. 217
Main Authors 岩上正明, 片山志郎, 園部一成, 篠山明宏, 中村祐三, 飯野幸永
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2010
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ISSN1349-8975

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Summary:目的:近年, 感染症治療は, 強い抗菌力・広い抗菌スペクトルを有する抗菌薬の開発により, 著しく進歩してきた. しかし, MRSA・緑膿菌をはじめ多剤耐性菌の出現が問題となり, 抗菌薬の適正な使用が求められている. 抗菌薬の使用動向は, 細菌の耐性化と密接な関係があることから, われわれは継続して調査を行ってきた. 今回は当院における2000~2009年度の10年間における抗菌薬使用動向, 主要菌種の分離菌頻度推移および耐性化について検討したので報告する. 対象および方法:過去10年間における抗菌薬使用動向の集計を行った. 主要菌種の分離菌頻度推移および耐性化については中央検査部のデータをもとに検討した. 結果:過去10年間の病院全体における抗菌薬の年間使用量は, ペニシリン系は増加傾向, セフェム系, アミノグリコシド系は減少傾向にあったが, 近年は横ばい傾向を示していた. 考察:今回の調査結果より, 2008年度2009年度におけるMRSAおよび, 緑膿菌の薬剤感受性推移と抗菌薬の使用量推移との比較では, その使用量との明確な関連は得られなかったが, 今後とも高度耐性化を避けるためにも, 抗菌薬の適正使用に関する情報提供を積極的に進めていく必要があると考える.
ISSN:1349-8975