P-61)救急外来における痙攣性疾患の実態調査

目的:本研究では, 救急外来における痙攣性疾患の実態調査を行うことによりてんかん患者がてんかん発作に至る背景を明らかにし, てんかん診療におけるpitfallを探索することを目的とした. また, てんかん診療における薬学的介入の有用性についても重ねて検討した. 対象および方法:平成18年1月から平成20年12月の3年間に千葉北総病院救急救命センターに搬送された救急患者のうち, 1)痙攣を主訴とする患者, 2)てんかんあるいは熱性痙攣の既往を有する患者, 3)意識障害で搬送されてんかんと診断された患者, についてレトロスペクティブに調査を行った. 結果:搬送件数6,924件(6,688名)の内訳...

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Published in日本医科大学医学会雑誌 Vol. 5; no. 4; p. 272
Main Authors 浦裕之, 定本清美, 太組一朗, 渡邉暁洋, 福田恵子, 小林士郎, 寺本明, 阪本雄一郎, 益子邦洋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2009
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Summary:目的:本研究では, 救急外来における痙攣性疾患の実態調査を行うことによりてんかん患者がてんかん発作に至る背景を明らかにし, てんかん診療におけるpitfallを探索することを目的とした. また, てんかん診療における薬学的介入の有用性についても重ねて検討した. 対象および方法:平成18年1月から平成20年12月の3年間に千葉北総病院救急救命センターに搬送された救急患者のうち, 1)痙攣を主訴とする患者, 2)てんかんあるいは熱性痙攣の既往を有する患者, 3)意識障害で搬送されてんかんと診断された患者, についてレトロスペクティブに調査を行った. 結果:搬送件数6,924件(6,688名)の内訳は, 外因性疾患が3,379件(43.1±23.6歳), 内因性疾患が3,545件(61.6±20.0歳)であった. 搬送後新たにてんかんと診断された患者130名のうち, 症候性局在関連てんかんは87名であった. 個別には服薬アドビアランス不良による再発例が散見された. 退院後にカルバマゼピンの肝代謝酵素誘導に起因すると思われる血中濃度低下による再発例も存在した. 考察:当院の救急搬送患者は症候性局在関連てんかんが大部分を占めていた. 部分発作に対する第一選択薬であるカルバマゼピンを含む併用療法の場合, 酵素誘導が完了する約1ヵ月間は血中濃度モニタリングに基づく薬剤調節が必要不可欠であると考えられる. 薬剤師は血中濃度モニタリングや患者服薬指導により, 投与量不足による「見かけの難治てんかん」治療に貢献すべきである.
ISSN:1349-8975