P-26)甲状腺疾患における甲状腺血流速度測定の有用性について:特にバセドウ氏病について

目的:従来から超音波検査におけるバセドウ氏病の評価は, 大きさ, 結節の有無, カラードプラ法を用いた視覚的な血流の評価などである. 今回, われわれはパルスドプラ法を用いて甲状腺内動脈の血流速度を測定することにより, 若干の知見を得たので報告する. 対象および方法:2009年1月から6月の間に当院を受診したバセドウ氏病患者10名, 腺腫様甲状腺腫患者12名, 比較対照として健常者6名を対象とした. GE社製超音波診断装置Logiq-7, 12MHzリニアプローブを用いて測定した. 結果:1)健常者の血流速度値:収縮期最大血流(PS)16.33±2.24cm/sec, 拡張期血流(ED)7.5...

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Published in日本医科大学医学会雑誌 Vol. 5; no. 4; p. 261
Main Authors 林綾子, 手塚尚美, 水谷行伸, 佐藤寛之, 池野廣幸, 草間芳樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2009
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Summary:目的:従来から超音波検査におけるバセドウ氏病の評価は, 大きさ, 結節の有無, カラードプラ法を用いた視覚的な血流の評価などである. 今回, われわれはパルスドプラ法を用いて甲状腺内動脈の血流速度を測定することにより, 若干の知見を得たので報告する. 対象および方法:2009年1月から6月の間に当院を受診したバセドウ氏病患者10名, 腺腫様甲状腺腫患者12名, 比較対照として健常者6名を対象とした. GE社製超音波診断装置Logiq-7, 12MHzリニアプローブを用いて測定した. 結果:1)健常者の血流速度値:収縮期最大血流(PS)16.33±2.24cm/sec, 拡張期血流(ED)7.55±2.19cm/sec, RI 0.55±0.06であった. 2)疾患別の血流速度値:バセドウ氏病患者はPS 43.2±21.30cm/sec, ED 18.9±8.39cm/sec, RI 0.55±0.07とPS, EDが正常者と比較して有意に高値を示した(P<0.01). また, 腺腫様甲状腺腫患者はPS 19.72±4.72cm/sec, ED 9.20±3.15cm/sec, RI 0.55±0.10と正常者と比較して有意な差は見られなかった. 3)相関関係:バセドウ氏病患者, 腺腫様甲状腺腫患者ともにPS, EDは甲状腺サイズ, 甲状腺ホルモンと有意な相関関係は見られなかった. 考察:バセドウ氏病患者の甲状腺内動脈血流をパルスドプラ法により測定し客観的な評価が可能になった. また, PS, ED, RIは甲状腺疾患の診断および治療効果の判定の一助になると考えられる.
ISSN:1349-8975