P-24)輸液療法室のインシデント・アクシデントの傾向を知る:安全管理の取り組みと今後の課題

目的:輸液療法室では, 月間約400件のがん化学療法(膠原病疾患の一部を含む)を実施している. 治療は登録されたレジメンに基づき, その数は122件であるが, 分子標的薬などの新規薬剤の登場や, 既存薬剤の適応疾患の拡大により, 今後も増えることが予想される. そのためわれわれは, 多様化している治療の安全管理方法に十分な知識と技能を持たなければならない. 今回われわれは安全管理の向上を目指し, インシデント・アクシデント報告の集計とその結果を分析した, 対象および方法:平成16~20年度のインシデント・アクシデント報告を集計・分析する. 結果:インシデント・アクシデント総数は16年が11件,...

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Published in日本医科大学医学会雑誌 Vol. 5; no. 4; p. 261
Main Authors 腹子あきこ, 宮田広樹, 岸田悦子, 弦間昭彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2009
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Summary:目的:輸液療法室では, 月間約400件のがん化学療法(膠原病疾患の一部を含む)を実施している. 治療は登録されたレジメンに基づき, その数は122件であるが, 分子標的薬などの新規薬剤の登場や, 既存薬剤の適応疾患の拡大により, 今後も増えることが予想される. そのためわれわれは, 多様化している治療の安全管理方法に十分な知識と技能を持たなければならない. 今回われわれは安全管理の向上を目指し, インシデント・アクシデント報告の集計とその結果を分析した, 対象および方法:平成16~20年度のインシデント・アクシデント報告を集計・分析する. 結果:インシデント・アクシデント総数は16年が11件, 17年19件, 18年16件, 19年30件, 20年33件であった. その内訳は, 投与管理に関連したヒューマンエラーによるものが16年の7件でそれ以降は年々減少しており, 20年は3件だった. 増加したものは, 薬剤による過敏症が, 16~18年が合計3件だったのに対し, 19年は15件, 20年は17件だった. 中でも分子標的薬による過敏症は, 19年が5件, 20年は10件であった. 考察:輸液療法室のインシデント・アクシデント報告の約半数は薬剤過敏症であり, 今後さらに抗体型の分子標的薬の使用が増加すると, その件数も多くなることが予想される. インフュージョンリアクションを含めた薬剤過敏症は, 薬剤の副作用として発生を完全に防ぐことは難しい. そのため, 出現したときの対応をシステム化することで, 早期発見と処置が重症化を防ぐことにつながると考える.
ISSN:1349-8975