P-13)大動脈弁石灰化と上行大動脈近位部のstiffness: strain rateを用いて

目的:大動脈弁石灰化と上行大動脈近位部の壁stiffnessと相関するかどうかを経胸壁心エコー(TTE)とstrain rate imaging(SRI)を用いて検討した. 対象および方法:TTEを実施し血圧, 心拍数の安定している連続46例を対象に傍胸骨より大動脈短軸像とそのSRIを同時に記録. オフラインで大動脈短軸像から壁厚(AoT, mm)を測定し, 動脈壁のstrain rate(SR)波形を描出し伸展後短縮波のピーク値(-SR, 1/s), 心電図R波から-SRピークまでの時間(SRT, msec), strain(S)波形から最大伸展波のピーク値(+S, %)を求めた. 結果:4...

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Published in日本医科大学医学会雑誌 Vol. 5; no. 4; p. 257
Main Authors 松崎つや子, 関野玲子, 見友優子, 田尾清一, 塚田亜希, 水瀬学, 中村利枝, 斉藤公一, 本間博, 藤本啓志, 大野忠明, 水野杏一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2009
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Summary:目的:大動脈弁石灰化と上行大動脈近位部の壁stiffnessと相関するかどうかを経胸壁心エコー(TTE)とstrain rate imaging(SRI)を用いて検討した. 対象および方法:TTEを実施し血圧, 心拍数の安定している連続46例を対象に傍胸骨より大動脈短軸像とそのSRIを同時に記録. オフラインで大動脈短軸像から壁厚(AoT, mm)を測定し, 動脈壁のstrain rate(SR)波形を描出し伸展後短縮波のピーク値(-SR, 1/s), 心電図R波から-SRピークまでの時間(SRT, msec), strain(S)波形から最大伸展波のピーク値(+S, %)を求めた. 結果:46例の平均年齢65±12歳, 平均血圧134±12mmHg, 平均心拍数66±18/分. 大動脈弁石灰化の程度から石灰化がないA群13例, 軽度B群8例, 中等度C群14例, 高度D群11例に分類. AoTはA群(1.5±0.5)vs B群(2.3±0.5, p=0.01), C群(2.5±0.5, p<0.001), D群(2.8±0.8, p=0.001)で有意差あり. +Sと-SRは各群間で有意差はなかった. SRTはA群(144±38)vs B群(220±74, p<0.05), C群(282±86, p<0.001), D群(255±98, p<0.01)で有意差あり. 46例のSRTとAoTとの間にR=0.617, p<0.001で有意に相関があり, AoTと年齢, -SRとAoTとの間にそれぞれR=0.393, p<0.01, R=0.345, p<0.05と軽度な相関あり. 左室駆出率はそれぞれの指標と相関はなかった. 考察:上行大動脈近位部壁局所のSRTはTTEで評価可能であり同部位のAoTと相関し, 大動脈弁石灰化と一致して高値であることから, 動脈硬化性病変の簡便な定量的指標となりうることが示唆された.
ISSN:1349-8975