P-3)骨髄異形成症候群(MDS)末梢血T細胞のPD-1発現の検討

目的:PD-1は活性化したT細胞表面に発現し, B7-H1などのリガンドと結合しT細胞自身の増殖を抑制する. これまでに, 非ホジキンリンパ腫, ホジキンリンパ腫, 慢性C型・B型肝炎などの疾患において, 末梢血T細胞上にPD-1が発現することが報告されている. 今回われわれは, MDS患者の末梢血T細胞のPD-1の発現について検討した. 対象および方法:MDS患者27例(RA 21例, RARS 1例, RAEB 4例, MDS/AL 1例)および健常者26例の末梢血を採取し, CD3+, CD4+, およびCD8+T細胞上のPD-1発現をフローサイトメトリー法で解析した. またPHA刺激で...

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Published in日本医科大学医学会雑誌 Vol. 4; no. 4; p. 239
Main Authors 中島壮崇, 田村秀人, 山下泰史, 近藤麻加, 趙万紅, 檀和夫, 緒方清行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2008
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Summary:目的:PD-1は活性化したT細胞表面に発現し, B7-H1などのリガンドと結合しT細胞自身の増殖を抑制する. これまでに, 非ホジキンリンパ腫, ホジキンリンパ腫, 慢性C型・B型肝炎などの疾患において, 末梢血T細胞上にPD-1が発現することが報告されている. 今回われわれは, MDS患者の末梢血T細胞のPD-1の発現について検討した. 対象および方法:MDS患者27例(RA 21例, RARS 1例, RAEB 4例, MDS/AL 1例)および健常者26例の末梢血を採取し, CD3+, CD4+, およびCD8+T細胞上のPD-1発現をフローサイトメトリー法で解析した. またPHA刺激で活性化した健常者7例のT細胞についても解析した. 結果:MDS患者の末梢血CD4+, CD8+T細胞上のPD-1発現強度は, 健常者細胞と比較し有意に強かった(それぞれp=0.004, 0.001). 症例数は少ないが病型などとの関連は認めなかった. またPHA刺激により, 健常者T細胞上のPD-1発現は顕著に誘導された. 考察:MDSのT細胞でPD-1発現が増強されていた. その機序, 病勢進行との関連については現在検討中である. われわれはMDS芽球がB7-H1を発現することを報告したが, MDSにおいてB7-H1-PD-1径路が, T細胞アポトーシスや細胞性免疫低下に関与している可能性についても検討中である.
ISSN:1349-8975