大きい前立腺肥大症でのモーセレータ使用による経尿道的前立腺摘出術

目的:前立腺肥大腺腫の完全切除を目的としわれわれの開発した経尿道的前立腺核出術(TUE)と既存の前立腺ホルミウムレーザー核出術を基礎にし, われわれはモーセレータを使用する新しい経尿道的前立腺剥離摘出術(TUDP)を開発し, これを大きい前立腺肥大症患者に対しても経験してきた. 対象および方法:TUDPは剥離子および切除鏡先端を使用し, 肥大腺腫を前立腺被膜から完全に剥離し, 膀胱内に脱落させ, この脱落させた腺腫をモーセレータにて細切・摘出する方法である. 今回, TUDPにて摘出重量が30gを超えた大きいBPH患者76人について集計した. 結果:前立腺総体積及び腺腫体積の平均は各々70.7...

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Published in日本医科大学医学会雑誌 Vol. 4; no. 2; p. 131
Main Authors 岩本和矢, 平岡保紀, 清水有二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2008
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Summary:目的:前立腺肥大腺腫の完全切除を目的としわれわれの開発した経尿道的前立腺核出術(TUE)と既存の前立腺ホルミウムレーザー核出術を基礎にし, われわれはモーセレータを使用する新しい経尿道的前立腺剥離摘出術(TUDP)を開発し, これを大きい前立腺肥大症患者に対しても経験してきた. 対象および方法:TUDPは剥離子および切除鏡先端を使用し, 肥大腺腫を前立腺被膜から完全に剥離し, 膀胱内に脱落させ, この脱落させた腺腫をモーセレータにて細切・摘出する方法である. 今回, TUDPにて摘出重量が30gを超えた大きいBPH患者76人について集計した. 結果:前立腺総体積及び腺腫体積の平均は各々70.7mLと47.4mL. 剥離, モーセレーションと合計手術時間の平均は各々28.5分, 14.4分, 66.3分. 摘出重量は61.1g. Hbおよび血清Na低下値は各々1.73mg/dL, 2.41mEq/dL. 術前・術後のQmax, I-PSSスコアおよびQOLスコアは9.8mL/sから20.2mL/sに, 22.3から4.9に, 3.1から1.2にそれぞれが改善した. 合併症はモーセレータによる膀胱粘膜損傷が2例(2.6%), 嘔気が4例(5.2%), 一過性尿閉が2例(2.6%), 一過性尿失禁が5例(6.4%), 尿道狭窄が2例(2.6%)であった. 経過観察可能であった46人の術後6ヵ月後の前立腺総体積およびPSAの平均値は10.68mLと0.89ng/mLであった. まとめ:TUDPは大きな前立腺肥大症に対して肥大腺腫の完全摘出に有用であり, 術中での出血量も少なく, 血清Naの低下も軽微であった.
ISSN:1349-8975