P-28)成人麻疹に続発した感染後ADEMの1例
「緒言」急性散在性脳脊髄炎(以下ADEM)はワクチン接種後, 感染後, 特発性に分類され, 比較的予後の良い疾患であると考えられている. 今回, われわれは来院時より高度の意識障害を示した麻疹感染後ADEMと考えられる1例を経験した. 「症例」44歳男性. 来院時より意識障害あり. 発熱と全身に粟粒大の赤色皮疹を認めた. 入院時, 項部硬直と頭部CTにて軽度の脳浮腫を認め, 髄液検査施行し, ウイルス性髄膜炎の所見を得た. 第5病日頭部CTにて脳浮腫の進行が認められた. 第6病日に施行した頭部MRIにてT2強調画像にて散在する高信号領域を認めた. 入院時血液・髄液検査にて麻疹ウイルスIgM,...
Saved in:
Published in | 日本医科大学医学会雑誌 Vol. 3; no. 4; p. 241 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本医科大学医学会
2007
|
Online Access | Get full text |
Cover
Loading…
Summary: | 「緒言」急性散在性脳脊髄炎(以下ADEM)はワクチン接種後, 感染後, 特発性に分類され, 比較的予後の良い疾患であると考えられている. 今回, われわれは来院時より高度の意識障害を示した麻疹感染後ADEMと考えられる1例を経験した. 「症例」44歳男性. 来院時より意識障害あり. 発熱と全身に粟粒大の赤色皮疹を認めた. 入院時, 項部硬直と頭部CTにて軽度の脳浮腫を認め, 髄液検査施行し, ウイルス性髄膜炎の所見を得た. 第5病日頭部CTにて脳浮腫の進行が認められた. 第6病日に施行した頭部MRIにてT2強調画像にて散在する高信号領域を認めた. 入院時血液・髄液検査にて麻疹ウイルスIgM, IgGともに上昇していた. 臨床経過, 血液・髄液検査, 画像検査より総合し麻疹感染後ADEMと診断した. 第7病日よりステロイドパルス療法を施行した. 第11病日, 入院加療中であるが意識レベルの改善はない. 「考察・結語」麻疹感染後ADEMとなる症例はまれであるが予後の悪い疾患であり, 死亡率10~15%, 重度の障害を残すものが25~60%との報告がある. 日本では近年成人における麻疹発症の増加とともに感染後ADEMは危惧される疾患である. ADEMではステロイド治療が推奨されるが, 診断確定に時間を要することも多く投与開始時期は明言されていない. 本症例の臨床経過とステロイド投与時期と予後について文献的考察を含め報告する. |
---|---|
ISSN: | 1349-8975 |