P-3)医学部における臨床遺伝教育の内容・手法の検討-日本医科大学の試み

平成16年に発表された「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」で遺伝情報を診療に活用する場合の取り扱いについて述べられている. 本邦の医学教育のなかには臨床の場面で遺伝情報をどのように適切に扱うかを理解し考える機会はほとんどなく, 臨床遺伝教育をどの時期にどのような内容で行うか検討されていない. これまで実践した臨床遺伝教育について報告する. 平成14年の臨床医学分野のカリキュラム変更に伴い, 全23コースの1つとして臨床遺伝コースが開始された. 開始前調査で医学部入学まで生物未履修である学生も多く, 入学後も生物に対する苦手意識を持ち続ける傾向を認めていた....

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本医科大学医学会雑誌 Vol. 3; no. 4; p. 233
Main Authors 渡邉淳, 三宅秀彦, 浅野ありさ, 右田真, 島田隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2007
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:平成16年に発表された「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」で遺伝情報を診療に活用する場合の取り扱いについて述べられている. 本邦の医学教育のなかには臨床の場面で遺伝情報をどのように適切に扱うかを理解し考える機会はほとんどなく, 臨床遺伝教育をどの時期にどのような内容で行うか検討されていない. これまで実践した臨床遺伝教育について報告する. 平成14年の臨床医学分野のカリキュラム変更に伴い, 全23コースの1つとして臨床遺伝コースが開始された. 開始前調査で医学部入学まで生物未履修である学生も多く, 入学後も生物に対する苦手意識を持ち続ける傾向を認めていた. さらに遺伝医学は急速に進歩している分野であり, 系統講義が行われた時代の知識では実際での「遺伝問題」への対応は不十分と予測された. コースカリキュラム作成にあたっては, 内容, レベルや教育手法について検討が必要と考えられた. コースでは知識習得となる系統講義(臨床遺伝専門医5名が担当)だけでなく, 学生個々人が考える機会として患者会の方の講演, ロールプレイや倫理問題についてdiscussionを組み込んだ. 学生からのコースへの授業評価では, 考え方の多様性や時に1人で対応する難しさを認識し新たな気づきにつながるような意見が散見された.
ISSN:1349-8975