P-53)当院における耐性菌検出状況
目的:近年, MRSA以外の薬剤耐性菌が増加しており, 臨床株からの耐性菌分離状況を把握することは, 病院内における感染対策を確立する上では重要となる. 今回, われわれは当院における薬剤耐性菌の分離状況の検討をしたので報告する. 対象:平成16年1月から平成18年5月の間に提出された臨床材料より分離した22,108株から各種薬剤耐性菌のうち, メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA), 基質拡張型βラクタマーゼ産生菌(ESBL), 薬剤耐性緑膿菌(MDRP), ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP), βラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性インフルエンザ菌(BLNAR)を対象とし検討した. 薬剤耐...
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Published in | 日本医科大学医学会雑誌 Vol. 2; no. 4; p. 265 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本医科大学医学会
2006
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ISSN | 1349-8975 |
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Summary: | 目的:近年, MRSA以外の薬剤耐性菌が増加しており, 臨床株からの耐性菌分離状況を把握することは, 病院内における感染対策を確立する上では重要となる. 今回, われわれは当院における薬剤耐性菌の分離状況の検討をしたので報告する. 対象:平成16年1月から平成18年5月の間に提出された臨床材料より分離した22,108株から各種薬剤耐性菌のうち, メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA), 基質拡張型βラクタマーゼ産生菌(ESBL), 薬剤耐性緑膿菌(MDRP), ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP), βラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性インフルエンザ菌(BLNAR)を対象とし検討した. 薬剤耐性菌の検出法はCLSI法に準じて判定した. 結果と考察:MRSA(9.3%)の検出率が最も多く, BLNAR(0.9%), PRSP(0.7%), ESBL(0.3%), MDRP(0.2%)の順で検出されている. PRSP, BLNARは, 外来患者からの検出菌が多く病院感染の問題は回避できる. 病院感染で問題になるMRSAは減少傾向にあり, ESBLは散発的に検出されているが病院感染には至っていない. 平成16年より実施している病棟ラウンドによる標準予防法の感染対策が良好に行われている可能性が示唆される. 今後, 上記以外の薬剤耐性菌に関しても, 感染予防に貢献するため検査室からの情報を蓄積し, 臨床へ提供していく事が重要であると再認識した. |
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ISSN: | 1349-8975 |