P-41)脂質抗体測定試薬「メディエースRPR」とガラス板法の不一致解析

目的:梅毒検査における脂質抗体測定試薬「メディエースRPR」(積水化学)は, 迅速測定が可能であり, 主にIgMを捕らえるため, 治療効果の判定に有用である. しかし, 従来法に比べ, 非特異反応による疑陽性が多い点に問題がある. 今回私たちはガラス板法との不一致解析を行い, 一部の非特異反応を回避したので報告する. 対象, 方法:2005年6月~2006年6月までに, 当検査部に梅毒検査依頼のあった23,640件のうち, RPR陽性の460件を対象とした. 測定機はコバスインテグラ400プラス(ロシュ)を用い, 試薬はメディエースRPR, メディエースTPLA. また用手法としてガラス板法(...

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Published in日本医科大学医学会雑誌 Vol. 2; no. 4; pp. 261 - 262
Main Authors 小相澤美香, 橋本政子, 金子幸江, 南良子, 飯野幸永, 里村克章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2006
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ISSN1349-8975

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Summary:目的:梅毒検査における脂質抗体測定試薬「メディエースRPR」(積水化学)は, 迅速測定が可能であり, 主にIgMを捕らえるため, 治療効果の判定に有用である. しかし, 従来法に比べ, 非特異反応による疑陽性が多い点に問題がある. 今回私たちはガラス板法との不一致解析を行い, 一部の非特異反応を回避したので報告する. 対象, 方法:2005年6月~2006年6月までに, 当検査部に梅毒検査依頼のあった23,640件のうち, RPR陽性の460件を対象とした. 測定機はコバスインテグラ400プラス(ロシュ)を用い, 試薬はメディエースRPR, メディエースTPLA. また用手法としてガラス板法(住友), カードテスト(三光), TPHA(富士). ヘパリン加血凝促滴下剤はヘパラピッド(積水)を用いた. 結果:二法陽性検体238件(51.7%)のRPR抗体価は1.0~151.0RUであったが, 不一致検体222件(48.3%)のRPR抗体価は1.0~7.7RUであった. RPR法陽性, ガラス板法陰性, カードテスト陰性, TPLA陰性, TPHA陰性となった212件に対し, ヘパラピッド試薬使用後RPR再検査を行った結果91件(42.9%)が陰性化した. 陰性化しなかった検体では自己抗体保有や凝固線溶系に異常がみられた. 考察:「メディエースRPR」陽性のうちガラス板法との不一致検体は48.3%を占め, 抗体価は低値であった. ヘパラピッド試薬使用により, 不一致検体中42.9%の陰性化が確認された. また, 陰性化しなかった検体では自己抗体保有や凝固線溶系に異常がみられた. 今後さらに非特異反応減少の改良試薬が望まれる.
ISSN:1349-8975