消化管縫合不全・瘻孔に対する血液凝固第XIII因子製剤投与の効果:血中増殖因子の動態からみた検討

消化管では創傷治癒が皮膚よりも急速である. しかし, 外科的吻合部が離開すると, コラゲナーゼ活性が高いために創傷治癒が遅延し, 瘻孔が形成される. 血液凝固第XIII因子は創傷治癒過程の早期に不可欠なフィブリン網の形成を促進することから, われわれは縫合不全16例, 瘻孔1例で第XIII因子の効果を検討した. 第XIII因子製剤(フィブロガミンP)を240単位, 5日間静脈内投与した. 治療前, 治療終了後1, 7日目にXIII因子活性, 血漿EGF, TGF-β, IL-6値を測定した. 造影検査, CT, ドレーン排液量, 性状により臨床的効果判定を行った. 治療により15例(88.2%...

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Published in日本医科大学医学会雑誌 Vol. 2; no. 1; p. 54
Main Authors 藤田逸郎, 木山輝郎, 水谷崇, 奥田武志, 吉行俊郎, 徳永昭, 田尻孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2006
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Summary:消化管では創傷治癒が皮膚よりも急速である. しかし, 外科的吻合部が離開すると, コラゲナーゼ活性が高いために創傷治癒が遅延し, 瘻孔が形成される. 血液凝固第XIII因子は創傷治癒過程の早期に不可欠なフィブリン網の形成を促進することから, われわれは縫合不全16例, 瘻孔1例で第XIII因子の効果を検討した. 第XIII因子製剤(フィブロガミンP)を240単位, 5日間静脈内投与した. 治療前, 治療終了後1, 7日目にXIII因子活性, 血漿EGF, TGF-β, IL-6値を測定した. 造影検査, CT, ドレーン排液量, 性状により臨床的効果判定を行った. 治療により15例(88.2%)で改善がみられた. 第XIII因子活性は11例(64.7%)で70%以上に増加, 6例(35.3%)は40~70%であった. 血漿中のEGF, TGF-βは, 改善例では増加, 不変例では増加しなかった. 血液凝固第XIII因子の全身的投与により血中増殖因子が増加し, 縫合不全, 瘻孔の創傷治癒を促進すると考えられた. [Factor XIII Therapy of Anastomotic Leak, and Circulating Growth Factors (J Nippon Med Sch 2006;73:18-23)]
ISSN:1349-8975