P-39)ズレの褥瘡発生への影響の解析
目的:小さな皮膚壊死の下に広汎な皮下ポケットを認める症例など, 表層に比べて皮下の損傷が大きな症例は臨床上しばしば経験される. 演者らはいったん小さな皮下ポケットを生じるとそれが元となり構造的にさらにポケットが拡大しやすい状態になるのではないかと考え, 有限要素モデルによる解析を試みた. 方法:モデルとして半円柱状の硬組織とそれを囲む軟組織を想定し, 2次元の有限要素モデルを作成した. モデルは, (1)硬組織と軟組織の間が結合している場合. (2)硬組織と軟組織の間に小さな隙間がある状態. (3)硬組織と軟組織の隙間が拡大した状態を想定した. このモデルに垂直方向と水平方向に強制変位を加え発...
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Published in | 日本医科大学医学会雑誌 Vol. 1; no. 4; pp. 239 - 240 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本医科大学医学会
2005
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ISSN | 1349-8975 |
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Summary: | 目的:小さな皮膚壊死の下に広汎な皮下ポケットを認める症例など, 表層に比べて皮下の損傷が大きな症例は臨床上しばしば経験される. 演者らはいったん小さな皮下ポケットを生じるとそれが元となり構造的にさらにポケットが拡大しやすい状態になるのではないかと考え, 有限要素モデルによる解析を試みた. 方法:モデルとして半円柱状の硬組織とそれを囲む軟組織を想定し, 2次元の有限要素モデルを作成した. モデルは, (1)硬組織と軟組織の間が結合している場合. (2)硬組織と軟組織の間に小さな隙間がある状態. (3)硬組織と軟組織の隙間が拡大した状態を想定した. このモデルに垂直方向と水平方向に強制変位を加え発生した応力を解析した. 結果:組織間に間隙の無い状態では, 垂直方向のみの強制変位では, 硬組織直下の部分の圧縮が観察され, 硬組織に圧迫されない部分では, 引っ張り応力が観察された. これに水平方向の強制変位を加えると, 硬組織と軟組織の接合面に引っ張り応力が観察された. さらに間隙を加えたモデルでは, 間隙の両端に応力の発生が観察され, 特に, 水平方向の変位方向反対側, すなわちズレの反対側に著明であった. 考察:本解析から, ズレにより硬組織と軟組織の間に小さな剥離様の間隙を生じると構造的に間隙の末端に大きな応力が発生し, さらに剥離が拡大しやすい状態となることが推察された. |
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ISSN: | 1349-8975 |