Gasless Laparoscopic Surgery Using a New Intraabdominal Fan Retractor System:An Experience of 500 Cases (J Nippon Med Sch 2005;72:213-216) 新しい腹壁全層吊り上げ鈎を用いた腹壁吊り上げ法腹腔鏡手術:500例の経験から

腹腔鏡手術は, 近年その低侵襲性から急速に普及してきた. しかし従来の気腹法では循環器, 呼吸器系への悪影響や炭酸ガス塞栓などの重篤な合併症が報告されてきた. 一方, 腹壁を機械的に吊り上げる腹壁吊り上げ法は気腹法の危険性が無い上, 従来からの手術器具を用いることができるなど, 操作性や安全性に優れている. 今回の検討では, 新しく開発された腹壁全層吊り上げ鈎の有用性を500例の経験から検討した. 腹壁吊り上げ鈎は3本の鈎からなり, 臍部に加えた10mmの縦切開部から順次腹腔内に挿入した後, 組み立てて使用した. 組み立てた鈎を吊り上げ棒に接続し, リールにて巻き上げることによって腹壁を上方に...

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Published in日本医科大学医学会雑誌 Vol. 1; no. 4; p. 212
Main Authors 明樂重夫, 阿部 崇, 五十嵐健治, 西 弥生, 黒瀬圭輔, 渡辺美千明, 竹下俊行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2005
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ISSN1349-8975

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Summary:腹腔鏡手術は, 近年その低侵襲性から急速に普及してきた. しかし従来の気腹法では循環器, 呼吸器系への悪影響や炭酸ガス塞栓などの重篤な合併症が報告されてきた. 一方, 腹壁を機械的に吊り上げる腹壁吊り上げ法は気腹法の危険性が無い上, 従来からの手術器具を用いることができるなど, 操作性や安全性に優れている. 今回の検討では, 新しく開発された腹壁全層吊り上げ鈎の有用性を500例の経験から検討した. 腹壁吊り上げ鈎は3本の鈎からなり, 臍部に加えた10mmの縦切開部から順次腹腔内に挿入した後, 組み立てて使用した. 組み立てた鈎を吊り上げ棒に接続し, リールにて巻き上げることによって腹壁を上方に挙上し, 腹腔に作業スペースを確保した. さらに両下腹部にトロカールを挿入して手術を開始した. 500例の手術では, 卵巣嚢腫摘出術が211例と最も多かった. BMI38の高度肥満の1症例を除き, すべての手術で視野は適正に確保され, 腹腔鏡手術は完遂された. 腹壁吊り上げ鈎に起因する合併症は認められなかった. 以上により, 新しい腹壁吊り上げ鈎は, 婦人科腹腔鏡手術において有用な器機であると考えられた.
ISSN:1349-8975