4)顔面外傷における3D-CTの有用性

目的:1983年にMarshらによって臨床応用された3D-CTは, 今日のCT検査の診断能力を飛躍的に向上させているが, 中でも複数の骨で複雑に構築されている頭蓋顎顔面領域での利用価値は高く評価されている. 救急搬送されて来る外傷患者では, 顔面骨骨折が比較的高頻度に見られるが, 多くの場合, 初療時は検査に有用な体位をとることが困難であり, 仰臥位での単純X線写真や単純CTのみで骨折を正確に診断, 評価するのは困難なことが多い. 今回我々は, 顔面骨骨折に対して3D-CTを施行した症例について検討し, 文献的考察を加え報告する. 対象, 方法:平成15年10月1日から16年9月30日の間に当...

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Published in日本医科大学医学会雑誌 Vol. 1; no. 2; p. 94
Main Authors 小島三貴子, 唐木千晶, 牧 真彦, 上笹 宙, 上田康晴, 望月 徹, 畝本恭子, 黒川 顕, 久保一人, 内谷栄一, 土佐眞美子, 平井 隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2005
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Summary:目的:1983年にMarshらによって臨床応用された3D-CTは, 今日のCT検査の診断能力を飛躍的に向上させているが, 中でも複数の骨で複雑に構築されている頭蓋顎顔面領域での利用価値は高く評価されている. 救急搬送されて来る外傷患者では, 顔面骨骨折が比較的高頻度に見られるが, 多くの場合, 初療時は検査に有用な体位をとることが困難であり, 仰臥位での単純X線写真や単純CTのみで骨折を正確に診断, 評価するのは困難なことが多い. 今回我々は, 顔面骨骨折に対して3D-CTを施行した症例について検討し, 文献的考察を加え報告する. 対象, 方法:平成15年10月1日から16年9月30日の間に当CCMに救急搬送され, 顔面骨骨折と確定診断された22症例を対象とした. 22症例のうち3D-CTを施行した症例についてその有用性を検討した. 結果:骨折の有無については単純CT画像が優れているが, 3D-CTは骨折による骨偏位や変形, 異物の局在, 全体像の把握をするのに優れていた. また, 手術計画においてもその有用性が示唆された. 考察:骨折を伴う顔面外傷は, 適切な治療が施されないと摂食や感覚器の障害, 容貌の面から患者のQOLに大きく影響する. 当CCMでは形成外科と協同で診断, 治療に当たっており, 3D-CTを積極的に活用しているが, 今回の結果から, 骨折の診断ならびに術前のプランニングに重要な役割を果たしていると考えられた.
ISSN:1349-8975