EBMからみた学校検尿

• Published in: Journal of Nippon Medical School Vol. 71; no. 3; pp. 143 - 149
• Main Author: 村上睦美
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 日本医科大学医学会 2004
• ISSN: 1345-4676; 1347-3409

学校検尿は学校保健法施行規則の改訂に従い, 昭和48年6月6日の文体保第143号局長通達「児童, 生徒, 学生および幼児の定期の健康診断の(3)に新たに, 尿検査を必須の項目として加え, 試験紙法によって尿中の蛋白等について検査することとし, 腎炎, ネフローゼ等の早期発見につとめることとしたこと. (規則第4条第5条の改正)なお, 腎臓疾患発見のためには潜血の検査をあわせて行うことが望ましいものであること」に基づいて昭和49年4月に施行されて以来, 29年間が経過した. しかし, その間これらの有用性や費用便益などについては検討されてきたが, Evidence Based Medicine(EBM)の面からの検討はなされていない. このような状況において本稿ではEBMの面からみた学校検尿について述べてみたい. 1. 学校検尿のFBM 近年, 一般診療におけるEBMについては多くの疾患において提唱され, これらに基づいた診療が行われるようになった. しかし, 学校において行われているマススクリーニングについては, このような面からの検討は行われていない. 学校検尿がEBMを持つための条件は, 学校検尿を受けた児童, 生徒が受けなかった児童, 生徒より末期腎不全に至る者の数が減少した, または末期腎不全に至るまでの時間が延長したなどの証拠の提示である.