3)外陰部に発生したBreast-like carcinomaの1例

目的:外陰部に発生した「乳癌」とも言うべき稀有な腫瘍について発表する事を目的とした. 対象:症例は75歳の女性. 右人工股関節置換術後の入院中に外陰部の出血を主訴に偶然発見された. 病巣は陰核発生した小指頭大の腫瘍で, 表面は易出血性, 境界は不明瞭浸潤性であった. 生検の結果, アポクリン腺癌が疑われた. 腫瘍マーカーを含めた血液検査に異常を認めなかった. 内性器は萎縮様で異常なく, 周囲のリンパ節も触知できなかった. MRIやCTを始め, 全身の検索をおこなったが, 乳癌を始めとする他の部位の悪性腫瘍は見出せなかった. 手術は単純外陰部切除術にて病巣を完全摘出した. 方法:光顕像のみならず...

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Published inJournal of Nippon Medical School Vol. 70; no. 4; p. 375
Main Authors 朝倉禎史, 川瀬里衣子, 小木三郎, 五十嵐健治, 市川雅男, 若月雅美, 鴨井青龍, 河村尭, 小黒辰夫, 清水秀樹, 赤坂久美, 三枝順子, 京本晃典, 黒川実愛, 浅香吉伸, 新井悟, 森修, 大秋美治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2003
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ISSN1345-4676

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Summary:目的:外陰部に発生した「乳癌」とも言うべき稀有な腫瘍について発表する事を目的とした. 対象:症例は75歳の女性. 右人工股関節置換術後の入院中に外陰部の出血を主訴に偶然発見された. 病巣は陰核発生した小指頭大の腫瘍で, 表面は易出血性, 境界は不明瞭浸潤性であった. 生検の結果, アポクリン腺癌が疑われた. 腫瘍マーカーを含めた血液検査に異常を認めなかった. 内性器は萎縮様で異常なく, 周囲のリンパ節も触知できなかった. MRIやCTを始め, 全身の検索をおこなったが, 乳癌を始めとする他の部位の悪性腫瘍は見出せなかった. 手術は単純外陰部切除術にて病巣を完全摘出した. 方法:光顕像のみならず免疫組織化学や電顕所見について検討した. 結果:病巣のHE染色像は, 比較的豊富な好酸性胞体と核小体の目立つ大型胞状核を有する腫瘍細胞が, 腺管状, 束状, 胞巣状配列を示しながら髄様かつ浸潤性に発育し, 周辺では高度の脈管侵襲を示していた. 一部の腺管上皮では, 断頭分泌が認められた. 特染では, 内腔を中心に消化PAS染色にて陽性を示す粘液を認めた. また, 免疫染色では, GCDFP-15:陽性, CEA:陰性, ER:陰性, PR:陰性, HER-2:陰性であった. 考案:本腫瘍は, 外陰部のPapillary hydradenomaの悪性型とも言われており, その起源が外陰部皮膚のアポクリン汗腺とも, 胎生期のmilk lineにそった異所性乳腺組織とも考えられている.
ISSN:1345-4676