P-98)臨床症状よりMarchiafava-Bignami Diseaseを疑った1例

症例は47歳, 35年前より一日日本酒2~3合のアルコール飲酒歴を有する男性. 数日前より全身倦怠感があったが, 意識障害を伴い家人が救急車を要請, 当救命救急センターに搬送となった. 入室時意識はGCS3(E1V1M1)であった. 二日後に意識は回復したが, その直後より見当識障害, 振戦, 多幸, 講音障害が認められた. また, 上肢を意図的に動かすことは可能であったが, 下肢の運動困難と歩行困難がみられ現在も加療中である. MRIでは両側基底核, 脳梁部に病巣が確認できた. 以上の臨床症状および画像診断からMarchiafava-Bignami Disease(MBD)を疑った. MBD...

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Published inJournal of Nippon Medical School Vol. 69; no. 6; p. 663
Main Authors 高久多希朗, 飯田浩彰, 増野聡, 久野将宗, 小柳正雄, 畝本恭子, 加地正人, 横田裕行, 黒川顕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2002
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ISSN1345-4676

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Summary:症例は47歳, 35年前より一日日本酒2~3合のアルコール飲酒歴を有する男性. 数日前より全身倦怠感があったが, 意識障害を伴い家人が救急車を要請, 当救命救急センターに搬送となった. 入室時意識はGCS3(E1V1M1)であった. 二日後に意識は回復したが, その直後より見当識障害, 振戦, 多幸, 講音障害が認められた. また, 上肢を意図的に動かすことは可能であったが, 下肢の運動困難と歩行困難がみられ現在も加療中である. MRIでは両側基底核, 脳梁部に病巣が確認できた. 以上の臨床症状および画像診断からMarchiafava-Bignami Disease(MBD)を疑った. MBDはMarchiafava&Bignamiによって1903年3剖検例報告によって報告されたアルコール多飲者に生ずる脳梁の対称性壊死という特異的な病理所見を呈する疾患である. 以前は剖検によってのみ診断が可能な疾患であったが, 1980年半ばよりCT, MRIの導入によって画像診断が可能となった. 今回, 本症例では臨床症状とMRIからMBDが強く疑われた. 慢性アルコール中毒と診断されて救急外来に運ばれてくる患者が多い中, この疾患を鑑別に入れる必要性が考えられ報告した.
ISSN:1345-4676