P-94)来院時心肺停止患者における蘇生後脳症の神経生理学的検査所見とその予後について

目的:最近18ヵ月間に当院救命救急センターに心肺停止(CPA)で搬送された患者のうち, 蘇生に成功した症例を神経生理学的検査および頭部CT検査で評価を行い, 予後を検討した. 対象:対象期間中に搬送されたCPA304例中心拍が再開しICUに入室した患者のうち神経生理学的検査を行うことができた38例(男性24名, 女性14名, 平均年齢63.1歳)を対象とした. 方法:CPA蘇生後の脳波, 聴性脳幹反応(ABR)および短潜時体性感覚誘発電位(SSEP)波形の有無, 頭部CT所見に注目し検討した. 脳波はHockaday脳波分類を用い, 頭部CTは所見を正常像, 小脳基底核のLow density...

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Published inJournal of Nippon Medical School Vol. 69; no. 6; p. 662
Main Authors 杉原秀人, 久保田稔, 池野廣幸, 鈴木健, 直江康孝, 畝本恭子, 横田裕行, 黒川顕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2002
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ISSN1345-4676

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Summary:目的:最近18ヵ月間に当院救命救急センターに心肺停止(CPA)で搬送された患者のうち, 蘇生に成功した症例を神経生理学的検査および頭部CT検査で評価を行い, 予後を検討した. 対象:対象期間中に搬送されたCPA304例中心拍が再開しICUに入室した患者のうち神経生理学的検査を行うことができた38例(男性24名, 女性14名, 平均年齢63.1歳)を対象とした. 方法:CPA蘇生後の脳波, 聴性脳幹反応(ABR)および短潜時体性感覚誘発電位(SSEP)波形の有無, 頭部CT所見に注目し検討した. 脳波はHockaday脳波分類を用い, 頭部CTは所見を正常像, 小脳基底核のLow density像, びまん性脳浮腫, 皮髄境界不明瞭の4型に分類した. 結果:38例中5例(13. 2%)のみ生存した. SSEPは8例で施行され全例N20を認めなかった. CT所見と脳波分類との予後の相関は得られなかった. ABRではV波のあった例にのみ生存例があり, 脳波とABRの関係も同様にABRでV波のある例では, Hockadayの脳波分類Vでも生存例があった. ABRで初回にV波を認めたのは16例でうち死亡は11例であった. 考察と結語:ABRのV波は生存に対し必要条件であるが十分条件では無いことが示唆された. SSEPは全例に行っていなかったため今後は予後評価としてさらなる測定が必要であると考えられた.
ISSN:1345-4676