P-71)千葉北総病院で検出された高頻度抗原に対する抗体

はじめに:高頻度抗原とは, ほとんどの人が陽性である赤血球型抗原である. この抗原陰性の人はそれらの抗原に対し抗体を持ち輸血できる適合血の入手が困難などの問題が生じる. 当院において高頻度抗原に対する抗体の1種である抗JMH抗体を検出したので報告する. この抗体の特徴として高力価低凝集力があげられる. 症例:63歳男性ABRho(D)陽性僧帽弁閉鎖不全のため当院胸部外科にて僧帽弁置換術を受けるため来院. 輸血歴は幼児期に母親より輸血を受けるが詳細は不明. 結果:手術用準備血の必要を認め当検査室で抗体スクリーニング検査を行う. 当検査室での抗体スクリーニング検査で間接抗グロブリン試験(IAT)の...

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Published inJournal of Nippon Medical School Vol. 69; no. 6; p. 655
Main Authors 稲川美実, 石渡統夫, 飯野幸永
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2002
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ISSN1345-4676

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Summary:はじめに:高頻度抗原とは, ほとんどの人が陽性である赤血球型抗原である. この抗原陰性の人はそれらの抗原に対し抗体を持ち輸血できる適合血の入手が困難などの問題が生じる. 当院において高頻度抗原に対する抗体の1種である抗JMH抗体を検出したので報告する. この抗体の特徴として高力価低凝集力があげられる. 症例:63歳男性ABRho(D)陽性僧帽弁閉鎖不全のため当院胸部外科にて僧帽弁置換術を受けるため来院. 輸血歴は幼児期に母親より輸血を受けるが詳細は不明. 結果:手術用準備血の必要を認め当検査室で抗体スクリーニング検査を行う. 当検査室での抗体スクリーニング検査で間接抗グロブリン試験(IAT)のみすべての血球に陽性(±~+)の反応を示し, 抗体同定用血球(パネル血球)にも同様の結果であった. 前述の結果より高頻度抗原に対する抗体を疑い日赤に精査を依頼, 次のような結果報告を受けた. JMH陰性血球3例を用いたLiss-IAT法で3例とも陰性. また他の高頻度抗原に対する抗体の混在は否定され抗JMH抗体が確認された. まとめ:今回の症例は手術準備血を必要としスクリーニング検査段階で検出された抗体であり, 適合血を見つけることが困難な症例として貴重な経験であった.
ISSN:1345-4676